では、何がインフレ率を低下させるのか? 引き締め色の強い金融政策をタイムラグを想定して施行することだ。そして影響の時期を計算する際は、6月のFRB発表の後でさえ、短期金利はインフレ率を下回ったままであることを忘れてはならない。彼らのバランスシートの縮小はまだ始まったばかりだ。最良の筋書きでも、インフレ低下の兆候を最初に見られるのは来年の夏だろう。2.7%予測が的中する可能性は極めて低い。
FRBのインフレ予測モデルには、「インフレ予想がインフレに与える影響」が強く織り込まれている。それは、もし人々がインフレ率は低いままだと思えば、他の重大な変化に関わらず、インフレ率は低いままになる、という発想だ。インフレ予測がインフレに影響を与えることは、短期的にはたしかに真実だが、FRBは予測に対する重み付けを非常に高く置いている。
インフレ予測はどのように作られるのか? FRBは自身による声明とフォワードガイダンスの信頼性を著しく重要だと信じている。おそらくそれは思い上がりであり、ギリシア神話で頻繁に罰を受けていた、自身の力の過大評価であろう。
インフレが2023年夏になっても過剰である可能性は極めて高く、その結果FRBは金利を上げ続けるだろう。現在のFRB見通しは、短期金利を2022年末に3.4%、2023年末に3.8%と予測している。2022年の数字は妥当だが、2023年の数字がインフレを抑制することはない。
金融政策のタイムラグによって、少なくとも今後2年間はインフレが続くだろう。FRBが過去の強力な刺激の役割を放棄すれば、今後数年間の高いインフレに寄与することにもなる。