ランサムウェア攻撃の増加や、ロシアのハッカーたちによる絶え間ない攻撃(ウクライナ侵攻に対する制裁への報復もあるだろう)を考慮すれば、今こそ、事業計画の一部としてサイバーセキュリティを見直すべきだ。
元FBI特別捜査官で、現在はサイバーセキュリティに関する講演活動やコンサルタント業をおこなうジョン・イアナレリ(John Iannarelli)は、「携帯電話、ウェブアクセス、データストレージといったテクノロジーを日常的に利用するようになった結果、企業は、特許情報や金融資産を狙うサイバー犯罪に脆弱になった」と指摘する。
今日のマーケティングにおいては、顧客にアウトリーチする際に、Eメールやウェブサイト、コンピューターネットワークが不可欠だ。この事実はまた、戦略コンサルタント、ビジネスコーチ、マーケティングエージェンシーなどを営む小規模企業がハッキングされ、機密データや資産が盗まれる恐れがあることを意味する。企業の評判を守りたいなら、イアナレリの忠告に耳を傾けるのが賢明だ。
「評判が失墜すれば、企業の将来的な事業遂行能力に悪影響が及ぶ」とイアナレリは言う。「サイバー攻撃から身を守るため、企業はリスクを理解しておかなくてはならない。サイバー空間のさまざまなリスクに関する社員教育が不可欠だ」
イアナレリは20年以上にわたってFBI特別捜査官を務め、FBI報道官、サイバー犯罪部署の主任捜査官、SWATチーム、すべての犯罪・サイバー・対諜報捜査を統括する特別捜査官の補佐といった役職を歴任してきた。犯罪捜査に関する複数の著書があり、全米規模のニュースメディアに頻繁に寄稿している。
彼が参加した大規模捜査は、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件、9.11同時多発テロ事件、ガブリエル・ギフォーズ下院議員銃撃事件、ソニー・ピクチャーズ大規模ハッキング事件など、枚挙にいとまがない。講演者としては、豊富な経験を刺激的な語り口で伝え、フォーチュン500企業や国連でスピーチし、バチカンでローマ教皇フランシスコとの対面も果たしている。
要するに、彼はサイバー犯罪の第一人者だ。筆者が彼と知り合ったのは、法執行官としてのキャリアのなかで出会った「楽しめるエピソード」にスポットライトを当てた本を執筆するにあたって、彼から協力を求められた時だった。