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2022.06.19 11:00

マッシュルームレザーや海藻など「代替物」はファッションの主流になるか?

Getty Images

ステラ・マッカートニーやバレンシアガ、エルメスなどの高級ブランドが、ハンドバッグやシューズ、コートなどのアイテムに、マイセリウム(mycelium、菌糸体)レザーの採用を始めている。

これは動物由来のレザーの代替となる素材で、きのこの根にあたる部分を原料としている。この新素材は、ボルト・スレッズやマイコワークスといった企業によって製造されている。

では、こうしたきのこを原材料としたレザーは今後、ファッション界の主流になるだろうか?

今どきの消費者が、従来のレザーに代わる素材や布地を求めているのは間違いない。自然や環境に優しい製品は、動物由来でない製品を探す「意識の高い消費者」から大きな支持を集めている。

ビジネス・オブ・ファッションは、「イノベーションには時間がかかる」としながらも、ファッション界がただ受け身で待つことはないだろうとの見方を示している。複数の著名なブランドも、顧客にとって魅力ある、新たな素材の選択肢を探しているところだ。

こうした素材を使ったアイテムの大半は、当初は数量が限定されるとみられる。これは実験的な試みであり、小さなスタートアップ企業の製品を用いて可能性を探っている段階だからだ。しかし、レザー素材の見直しに向けた動きが始まっていることは間違いない(思い出してほしいのだが、多くの消費者が毛皮の購入や着用をやめたのは、そう昔の話ではない)。

LVMHやケリングを含む、多くのファッション企業が、きのこを原材料としたレザーを試験的に採用し、消費者に受け入れられるかどうかを見極めている。マッシュルームレザーは動物由来のレザーとは異なり、菌糸体と呼ばれる、地下にあるきのこの根にあたる部分を構成する、網の目状の構造体を原材料としている。ただし複数の報道によると、こうしたレザーはまだ非常に高価で、生産量も限られているとのことだ。

最初に試験販売されるのは「マッシュルーム・ハンドバッグ」で、ステラ・マッカートニー、バレンシアガ、エルメスがそれぞれのコレクションに投入する予定だ。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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