FRB、1994年以来の大幅利上げ 市場は景気後退リスク見極め

ロシアのウクライナ侵攻と世界的なパンデミックに伴うインフレの継続により、ガソリン代は世界と米国で上昇を続けている(Photo by Win McNamee/Getty Images)

米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、1994年以来最大となる0.75ポイントの利上げを決めた。約40年ぶりの激しさとなっているインフレの抑え込みに向けて強硬策に出た。FRBはこれにより、新型コロナウイルス対策の景気刺激策の縮小が遅すぎたという批判をかわそうともしている。一方、市場関係者らは、積極的な利上げが米経済のリセッション(景気後退)を招かないか見極めようとしている。

FRBは同日まで2日間開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75〜1.00%から1.50〜1.75%に引き上げることを決めた。

FRBのジェローム・パウエル議長は、0.5ポイントの利上げを決めた5月のFOMC後の会見では、0.75ポイントの利上げは「積極的に検討していない」と述べ、引き続き0.5ポイントの利上げを行う姿勢を示していた。だが、5月の消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高さとなる前年同月比8.6%上昇と、予想を上回ったことから、投資家は今回会合での0.75ポイントの利上げを織り込んでいた。

FRBはかねて示唆していたとおり、今年3月にゼロ金利政策を解除し、0.25ポイントの利上げを実施した。しかし、インフレがなかなか落ち着かず、FRBに対しては利上げのタイミングが遅れたとの批判が高まるなか、今後の利上げのペースや大きさは積極的なものになるとの見通しが強まってきていた。

セブンズ・リポートのトム・エッセイは15日の顧客向けリポートで、利上げは借り入れコストを高くし、需要を和らげることでインフレ退治に寄与する半面、利上げによって経済成長が損なわれ、リセッションを招くのではないかという懸念の高まりが、最近の相場下落をもたらした「主因」だと指摘している。

ブルーベイ・アセット・マネジメントで米国債券チームを率いるアンジェイ・スキバは「FRBの措置が(米経済の)いちじるしい減速やあからさまな縮小を招くかは今後数四半期で明らかになるだろう」とコメント。FRBは「インフレ対策での信頼性が問われているだけに、後手に回っているとみられるわけにはいかない」と解説した。

ゴールドマン・サックスのエコノミストらは今週の顧客向けリポートで、FRBは7月も0.75ポイントの利上げを行うと予想。これは、リセッションを避けつつインフレを封じ込めるうえで、FRBが目標にしているとみられる水準をやや超えて、成長の足を引っ張るものになるとの見方を示している。

編集=江戸伸禎

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