今年、アップルが世界開発者会議「WWDC」で発表したApple Watch、iPhoneの次期OSに追加する「ヘルスケア」と「フィットネス」の新機能は何が革新的なのか。米アップルのCOO(最高執行責任者)であるジェフ・ウィリアムズ氏、ヘルス担当バイスプレジデントのサンバル・デサイ医学博士、ならびにフィットネスヘルステクノロジー担当シニアディレクターのジェイ・ブラニク氏に聞いた。
ヘルスケア機能で大切にする「科学的な知見」と「プライバシー」
アップルがiPhoneとApple Watchの標準アプリとして提供する「フィットネス」と「ヘルスケア」は、HealthKit APIを含む強力なフレームワークにより結び付いている。アプリが互いに連係を図り、ユーザーの健康を日々データ化しながら支えるエコシステムにもアップルらしさがある。
Apple Watchのヘルスケア機能がユーザーの命を救った事例の報告も増えている。2022年初にアップルはApple Watch Series 7の緊急電話機能が人命救助を果たした“お手柄”を約1分間のイメージムービーをにまとめて公開した。
「iPhoneやApple Watchがいつもユーザーの健康管理を支え、時には命を救うきっかけにもなっていることを、私たちも知り、日々の励みとしています。これからも多くの機能やサービスをユーザーに届けたいという意欲がわいてきます」
こう語るウィリアムズ氏は、アップルのヘルスケアとフィットネスに関わる機能の開発にはふたつの大きな原則があることを強調する。
ひとつはその進化が「科学的な知見」に基づいていることだ。watchOS 9の新機能である睡眠ステージがその好例であるとウィリアムズ氏は説く。
「Apple Watchにより正確な睡眠ログを記録して、なおかつ科学的な解析を加えたうえで、詳細な睡眠ステージのデータをユーザーに提供できるところにアップルの独自性があります」