スタイリッシュにして軽やかな走りでAudiが描く未来 Audi e-tron 50 quattro S line

Audi e-tron 50 quattro S line

アウディらしい、テクノロジーからの先進性を具現化するEV Audi e-tronが見せる未来の走り。


テクノロジーをブランドづくりの起点にする。かつて1980年代にアウディが始めたことと言ってよい。

アウディが急成長したのは、空力ボディと全輪駆動のクワトロシステムという、当時画期的だった技術を前面に押し出したため。科学をマーケティングのツールにするという考えは80年代では新しかったが、アウディは、いままた、技術でもって、次代へと羽ばたこうとしている。

それがe-tron(イートロン)と同社が名づけたEVだ。スポーツバックとアウディが呼ぶファストバックもあれば、スポーツカー顔負けの高性能をもつGTも。そのスタートは、2018年に発売された「Audi e-tron」。アウディはe-tron SUVと呼んだりする。

4900mmの全長に、1630mmの全高をもつボディ、そして2930mmと大型セダンなみのロングホイールベースの組み合わせ。「Audi e-tron 50 quattro」は、71キロワット時のバッテリー搭載で、230kWの最高出力と540Nmの最大トルクで、前後の車輪を駆動する。

一言で言って速い。見かけは、スタイリッシュなSUVだ。しかし、アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、どんっという勢いでダッシュをみせる。

私は以前、日本導入を前にアブダビで、出来たてほやほやという感じのe-tronをドライブした経験がある。印象はとにかく斬新。パワフルな電気モーターによる加速感といい、静粛性といい、内外のデザインといい、“前進”というキーワードを好むアウディにぴったりだと感心させられた。

余裕あるサイズのボディなのに、軽やかと表現してもいいぐらい、ドライバーである私の意のままに動くのに感心。自動車は新しい時代に入ったのだなあと、中東の山岳地帯や砂漠といった、さまざまな道を走りながら、感慨にふけったのをおぼえている。上手に未来へと向かってブランドを変えていく。アウディはそこがうまい。




Audi e-tron 50 quattro S line

ボディ外寸:全長×全幅×全高=4900×1935×1630mm
駆動形式:電気モーター×2 全輪駆動
最高出力:230kW 最大トルク540Nm
一充電走行距離:316km(WLTCモード)
価格:¥11080000
問い合わせ:https://audi.co.jp

COLUMN Audiが提案する、都市型のスマートな充電スポット




EV普及によって浮上しているのが、充電インフラの問題だ。日本でもEVが続々と発表されており、充電の設備はいろいろな面で課題を抱えていることが明らかになっている。最大の課題は、充電設備の拡充だ。

アウディは、簡単に、かつローコストでつくれる充電ステーションを提案。実証実験がドイツで始まった。これ、面白い。「AudiCharging Hub」という都市型の急速充電設備は、「自宅で充電することができない電気自動車のオーナー」を対象としている。

使用済みあるいは処理済みのリチウムイオンバッテリーを利用し、キューブと名づけたコンテナ型の建造物は組み立ても分解も容易。カフェも併設できるので、充電中はユーザーはリラックスして過ごすことができる。多くの問題点を考慮している。このスマートな設備、日本にも欲しい。

文=Fumio Ogawa 写真=Tsukuru Asada (MILD)編集=Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.094 2022年月6号(2022/4/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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