なぜデザイン部門で最高賞に輝いた?
この美しく可視化された衣服リサイクルの試みは、ストックホルムの特定地域だけで行われたもので、昔であれば大きな広がりは期待できなかったが、いまやウェブサイトやスマートフォンを通じて、全世界で視聴することが可能だ。また世界55の市場で500以上の記事が執筆された。さらに、SNSなどを通じての人々への到達回数は、1500万回以上を記録したという。
SDGs関連のメッセージがこれだけ世界に溢れるようになると、通り一遍の発信の仕方では効果が薄い。その製品やサービスを業界に適した形で発信してこそ、受け取り手の気持ちにも届く可能性が大きくなる。
ファッション業界で言えば、それはやはり、美しさであり、ファッショナブルな感覚だろう。Looopは、その点を十分に理解したうえでのキャンペーンだといえる。だからこそ、大きな反響を呼び、前述したカンヌライオンズでも、「素晴らしいデザインで効果をあげた」ことを審査するデザイン部門で最高賞に輝いたのだ。
食品業界であれば食欲が沸く形で、自動車業界であれば移動の楽しさを彷彿とさせる形でキャンペーンを考えればより効果的なのだ。これからのSDGs関連メッセージの在り方について、H&MのLooopは、意義深い考え方を示していると言えるのではないだろうか。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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