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2022.06.17 18:00

メゾンの伝統を再解釈したディオールのバッグ

右上/「ディオール ロック」のアタッシェケース。右下/「ディオール ロック」のアタッシェケース左上/アイコニックな「サドル」バッグ。左下/金の延べ棒からインスピレーションを得た「ディオール ランゴ」。

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は6月号(4月25日発売)より、「ディオール」のバッグをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):今月取り上げるブランドは「ディオール」です。

小暮昌弘(以下、小暮):クリスチャン・ディオールが1946年に創設したフランスのブランドです。彼が生み出した「ニュールック」は、世界中の女性を魅了し、ファッションに大きな影響を与えました。

森岡:早くからメンズラインも立ち上げていました。2000年にクリエイティブディレクターに就任したエディ・スリマンスーツはモード界の帝王カール・ラガーフェルドが絶賛し、ディオールのスーツを着るために減量までしたそうです。

小暮:18年からアーティスティックディレクターに就任したのが、イギリス出身のキム・ジョーンズ。ルイ・ヴィトン時代、「シュプリーム」とコラボして、モードの世界に“ストリート”をもち込んだ人物です。

森岡:「ディオール」に入った後も「ジョーダンブランド」とコラボしたスニーカーを発表しましたね。当時、すごい人気でした。

小暮:今回、紹介するのはモノグラムモチーフ入りのメンズバッグのコレクションですね。

森岡:1974年に、当時のアーティスティックディレクターだったマルク・ボアンがブランドのイニシャルから着想を得たモチーフに、キム・ジョーンズが再解釈を加えた「CDダイヤモンド」を用いた新作です。このモチーフはブランドの新たなるアイコンと言えます。サステナブル認証を受けたコットンキャンバスをベースにシルクスクリーンで、手作業によってプリントが施されています。

小暮:確かな歴史とたくさんのアーカイブをもつ老舗ならではのデザイン。グレーを基調としたカラーリングがシックですし、品のよさを感じます。これならばビジネスシーンでも使えますね。個人的には、アタッシェケースがとても気になります。

森岡:これは「ディオールロック」と呼ばれるモデル。大きいモデルもいいのですが、小さいモデルが新鮮だと思いませんか。

小暮:確かにそうです。これは昔のアタッシェケースではあまりなかったサイズ。ショルダーベルトが付いていて、肩からも掛けられます。これならばカジュアルなスタイルにも合いますね。いやむしろそのほうがこの種のバッグの使い方としては新しい。

森岡:キャッシュレス化で財布も小型化の傾向ですし、だんだん荷物も少なくなっています。スマートフォンと少しの手荷物が入ればバッグはそれで十分という人もいます。

小暮:ファッションのカジュアル化が進むなか、これまでリュックサックを使っている人への新しい提案とも言えます。小さいアタッシェケースは、女性に支持されるデザイン、サイズかもしれませんね。
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文=Masahiro Kogure 写真=Masahiro Okamura

この記事は 「Forbes JAPAN No.094 2022年月6号(2022/4/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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