【ショック安】米株、日経平均急落 企業トップらの経営判断はいかに

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6月13日の外国為替市場は一時、1ドル135円まで下落し、1998年10月以来の円安相場となった。背景には、米国ではインフレが加速し、米連邦準備理事会(FRB)は利上げによる金融引き締めを行う一方で、日銀は金融緩和を継続していることがある。

鈴木俊一財務相は「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」と述べたが、円売りの動きが加速しそうな状況にある。ウクライナ情勢も依然先行きが不透明ななか、企業経営者は相場をどのように見ているのか。また事業への影響は──

企業経営者からレストランオーナーまで、トップに聞いた。

デフレトレンド脱却の好機


ワープスペース 代表取締役 常間地悟

海外への発注が多い当社にとって為替変動は数字に大きな影響を及ぼします。昨今の円独歩安は完全にコスト増要因です。一方で金利上昇、株安のトレンドはスタートアップの資金調達環境を冷やしていますが、事業をしっかりと進めている企業には引き続き投資の目が向いています。ここ数年の過度なバリュエーションが調整されていると捉えれば、中長期的には正しいトレンドだと考えています。

コモディティ価格の上昇も、長期視点でみれば適正なトレンドとみています。日本もインフレ率でついていくこと(モノ、サービスの売価含め)が重要で、むしろデフレトレンド脱却の好機ともいえます。

現在の市況の厳しさはその急激な変化にあり、多少オーバーリアクションなところもありますが、落ち着くまでには少し時間を要しますので、ディープテックのスタートアップとしては、着実に開発と事業を進める、これに限ると考えています。リーマンショック時のようにお金の流れが止まっているわけではないので、あまり悲観はしていません。

シードVCは継続的な投資を


iSGSインベストメントワークス(ベンチャーキャピタル) 代表取締役/代表パートナー 五嶋一人

欧米では利上げに端を発する上場株価の急落、日本ではこれに内外金利差による円安も加わり、スタートアップ投資の環境は不透明度が非常に高まっています。IPOが近いスタートアップ企業に対して大きな金額を投資し、比較的短期間で上場により投資回収をするスタイルのベンチャーキャピタル(VC)は、その不透明さがすでに投資活動に影響を与えています。

一方で、シード期からアーリーステージを対象としたVCの投資活動は、数年後の投資回収を前提としているため、短期的な景気や政情の変化が与える影響は小さく、継続的な投資を続けていくべきでしょう。

石油価格と連動し原材料価格が高騰


錦城護謨 代表取締役社長 太田泰造

燃料コスト増による輸送費や原材料費の高騰、さらには例えばフッ素などが入手困難な状況にあります。またゴムの場合は、天然ゴム市場と石油価格とが連動し原材料費が高騰しています。

特に当社がグラスの製造に使うような特殊材料は、海外からの仕入れなので円安はかなりのコスト増に繋がっていて、代替材料の調達やテスト、顧客調整は先手を打って実行しています。ただ時間がかかり、すぐに変更ができない点が懸念されます。
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編集=露原直人

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