ビジネス

2022.06.16

何でも「そこそこ」できる優秀なジェネラリストに創業者はどう向き合うべきか?

スタートアップが成長していく中で必ず経験することの1つが、「優秀なジェネラリスト」から「優秀なスペシャリスト」の採用へのシフトです。

立ち上げたばかりのスタートアップは、コンセプトを練り、プロダクトを開発し、初期顧客を獲得し、プロダクト・マーケット・フィットを見つけるなど、アーリーステージならではの様々な課題に取り組まなければなりません。

この段階においては、横断的な役割を担える優秀なジェネラリストがチームメンバーとして最適です。コードも書ける、デザインもできる、分析プログラムも導入できるなど、ジェネラリストならそのときの様々なニーズに柔軟に対応できます。

「ゼロからイチ」を作らなければならないフェーズでは、まだ役割や責任もあまり明確化されていない混沌とした状況のため、非常に頼もしい戦力となってくれるでしょう。

しかし、プロダクト・マーケット・フィットを達成して、成長が軌道に乗ってきたら、組織の増強とともにその性質も変えていく必要があります。

以前のようにマーケティング全般ができる人材というのではなく、コンテンツマーケティングや広告マネジメントに特化した人材が必要になってきます。

エンジニアも、これまでのようにフルスタックエンジニアだけというわけにはいきません。DevOpsエンジニアや、フロントエンドエンジニアの確保が必要です。

要するに、ジェネラリストだけでは成り立たなくなり、組織にスペシャリストが必要になってくるのです。

1PasswordのCEOであるJeff Shiner氏は、このような変化を「オール80点プレイヤー」VS「一点特化型90点超プレイヤー」のジレンマと表現しています。

「オール80点プレイヤー」は、初期の頃はチームメンバーとして素晴らしい活躍をしてくれます。しかし会社にスペシャリストが増え、様々な業務をジェネラリストに代って担当するようになると、ジェネラリストたちは次第に社内での居場所を失っていきます。基本的にどの仕事も単体ではスペシャリストのほうが適任であるため、その後も会社が成長すればするほど、ジェネラリストとしての仕事は減っていってしまうのです。

ジェネラリストは立ち上げの頃から会社に貢献してくれている人たちなので、この淘汰は全員にとってつらいものになるでしょう。

しかし、組織の規模を30人から100人くらいまでスケールさせたことがある起業家であれば、誰もが必ず経験しているジレンマでもあります。そのため、どのように対処するべきか考えておくことが重要です。
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文=James Riney

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