熟成させたハードチーズであるパルミジャーノ・レッジャーノは、イタリアの美食の象徴となっているが、同時に偽物を扱う大規模な市場も生んだ。
パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北東部エミリアロマーニャ州のパルマ、レッジョエミリア、モデナ、ボローニャやロンバルディア州のマントバ地域で作られる。2021年の年間売上高は27億ドル(約3600億円)と推定されている。
一方で、模倣品ビジネスもこれに近い規模を持っている。本物のパルミジャーノ・レッジャーノ製品の保護に取り組む団体パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ・コンソーシアムは、偽物市場の規模を20億ドル(約2700億円)と試算している。
同団体は、新たな模倣品対策として、本物のパルミジャーノ・レッジャーノに小さな追跡チップを装着する措置を年内に開始すると発表。まずは試験的に、10万個のカゼインラベルにチップを埋め込む予定だ。これが成功したら、パルミジャーノ・レッジャーノには必ずチップが装着されるようになる。
偽物はどう見分ける?
本物のパルミジャーノ・レッジャーノに使われる材料は、地元で24時間以内に生産された牛乳、塩、レンネット(子牛の腸から取られた自然の酵素)の3つのみだ。原産地名称保護制度により、特定の地域でしか作れない。
米国のスーパーでは、「パルメザナ」や「パルマボン」、「リアル・パルマ」、「パルメザン」、「パルメザーノ」といったチーズが売られているが、こうした名前の製品は本物のパルミジャーノ・レッジャーノではない。
しかし多くの模倣品は、パルミジャーノ・レッジャーノを英語に翻訳した「パルメザン」として販売されている。欧州連合(EU)外の国ではこの名称が規制されていないことが原因だ。また、パルメザン100パーセントをうたう製品の多くは、実際にはソルビン酸カリウムやセルロースといった添加物を使っている。