上記の数字は、このたび発表されたマッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書「Expand diversity among your suppliers - and add value to your organization(サプライヤーの多様性を拡大し、組織の価値を高めるには)」に記されているものだ。同報告書では、マイノリティや女性が経営する企業との取引高を増やすことで、米国経済は規模の拡大を図ることができるとしている。
報告書の要点
サプライヤーの多様性を実現させることは、米国経済の長期的な繁栄に貢献するだろう。具体的には、マイノリティ/女性が所有する企業(Minority/Woman Owned Business Enterprises:MWBE)に振り向けると各社が誓約した総額500億ドルのうち、4割が高成長セクターに費やされた場合、これはMWBEにとって200億ドルの売上増加につながる。さらに、これによりマイノリティのコミュニティには、19万人分の雇用と150億ドルの収入がもたらされるという。
「サプライヤーにおける多様性の範囲を拡大することで、より高賃金のセクターで、なおかつ、機械学習や人工知能(AI)に奪われる可能性が低い職種について、マイノリティの雇用を創出することができる」と、この報告書で調査担当者は書いている。
MWBEと取引を行う主要な利点としては、企業のスピード、機敏性、ローカライゼーション、そして製品やサービスのイノベーションを促進できる点が挙げられる。
米国の企業社会に多様性が与えるメリット
米国の企業社会も、自らの責任を果たそうと取り組みを始めている。例えばシティグループは、「Action for Racial Equity(人種的公正に向けた行動)」計画を策定した。その内容は、黒人起業家向けのインパクト投資の資本として5000万ドル、黒人が所有するサプライヤー企業による調達の機会創出に3億5000万ドル、マイノリティ向けの預金取扱機関(MDI)の成長資金として5000万ドルを投入するというものだ。
フェイスブックも、米国の黒人および多様な人々が経営するサプライヤーやコミュニティ向けに、総額11億ドルのさらに広範な投資を行うことを表明した。