国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが2021年11月に発表した報告によると、世界で最も危険な紛争地域で暮らす子どもたちの数は、2020年に2億人近くに上り、ここ10年あまりで最多となった。2019年比で20%増加したことになる。
さらに、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、新たな紛争が起きたことで、危険な状況下で暮らす子どもたちの数はさらに増える見込みだ。
事実、ロシアのプーチン大統領が仕掛けた戦争は、ウクライナの子どもたちに計り知れない影響をもたらしている。英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は2022年5月、ウクライナ情勢を話し合う国連安全保障理事会で声明を発表した。そして、同理事会が採択した「紛争下における、6つの形態の子どもに対する重大な権利侵害行為」について、ロシアはそのうちの4つに違反している証拠があると述べた。
具体的には、子どもが殺害されたり負傷したりしていること。ウクライナ国内の学校や病院が攻撃対象になっていること。ロシア軍兵士が、子どもに性的暴力を働いていること(ならびに、子どもたちを強制退去させ、人身売買と性的搾取の被害にさらしていること)。子どもたちをロシアに強制送還していることだ。
ロシアによるこのような重大な権利侵害の証拠は、続々と明らかになっている。ウッドワード国連大使は次のように訴えた。「ロシアによる侵攻とそれに続く破壊行為により、失われた世代が生まれてしまう危険性と、暴力の連鎖が続く危険性が、極めて現実的なものとして存在している」
ユニセフが2022年5月31日に発表した報告によれば、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降の攻撃で、少なくとも262人の子どもが殺害され、415人の子どもが負傷した。つまり、ウクライナでは1日に2人以上の子どもが殺され、4人以上が負傷しているのだ。大半は、人口密集地域への爆発物による攻撃で犠牲になっている。