経済・社会

2022.06.15 06:00

ウクライナ戦争で悪化、紛争地域で暮らす子どもたちが急増

Photo by Mariia Symchych-Navrotska / EyeEm(Getty Images)

社会で最も弱い立場にある子どもたちは、紛争が起きると最も大きな影響を被る存在でもある。紛争中に子どもたちは、殺害や虐待、性的暴力、拉致といった数々の脅威にさらされる。紛争を逃れても、家族と離散したり、性的搾取などの虐待や人身売買の被害に遭ったりする可能性が非常に高い。

国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが2021年11月に発表した報告によると、世界で最も危険な紛争地域で暮らす子どもたちの数は、2020年に2億人近くに上り、ここ10年あまりで最多となった。2019年比で20%増加したことになる。

さらに、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、新たな紛争が起きたことで、危険な状況下で暮らす子どもたちの数はさらに増える見込みだ。

事実、ロシアのプーチン大統領が仕掛けた戦争は、ウクライナの子どもたちに計り知れない影響をもたらしている。英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は2022年5月、ウクライナ情勢を話し合う国連安全保障理事会で声明を発表した。そして、同理事会が採択した「紛争下における、6つの形態の子どもに対する重大な権利侵害行為」について、ロシアはそのうちの4つに違反している証拠があると述べた。

具体的には、子どもが殺害されたり負傷したりしていること。ウクライナ国内の学校や病院が攻撃対象になっていること。ロシア軍兵士が、子どもに性的暴力を働いていること(ならびに、子どもたちを強制退去させ、人身売買と性的搾取の被害にさらしていること)。子どもたちをロシアに強制送還していることだ。

ロシアによるこのような重大な権利侵害の証拠は、続々と明らかになっている。ウッドワード国連大使は次のように訴えた。「ロシアによる侵攻とそれに続く破壊行為により、失われた世代が生まれてしまう危険性と、暴力の連鎖が続く危険性が、極めて現実的なものとして存在している」

ユニセフが2022年5月31日に発表した報告によれば、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降の攻撃で、少なくとも262人の子どもが殺害され、415人の子どもが負傷した。つまり、ウクライナでは1日に2人以上の子どもが殺され、4人以上が負傷しているのだ。大半は、人口密集地域への爆発物による攻撃で犠牲になっている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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