ビーチカルチャーのステレオタイプからの脱却
もうひとつは、中国系アメリカ人Amy Liu氏が立ち上げたロサンゼルス発のクリーンコスメブランド「Tower28」だ。
LAのビーチカルチャーからインスパイアされたプロダクトを展開。ヴィーガン処方で、低刺激ながら発色が良いクリームチークやリップグロスが、Z世代を中心に人気を呼んでいる。
2019年のローンチ以降、美容系インフルエンサーや美容メディアからも絶大な支持を得て、大手コスメ専門店「セフォラ」でも人気を誇るコスメブランドに成長した。
「Tower28」のブランドストーリーで注目したいのは、これまで広告などで描かれてきたビーチカルチャーのステレオタイプからの脱却だ。ホームページを訪れると、多様な人種のモデルがビーチで楽しむ動画が流れる。
若いころからLAのビーチを訪れ、そのカルチャーに影響を受けていたLiu氏。米国の美容メディア『allure』の取材で、次のように話していた。
「誰もが自分の居場所を見つけられるブランドにすることで、レプリゼンテーション(多様性が適切に表現されている状態)を実現したい。多様なバックグラウンドの人がビーチを満喫するようなイメージです」
インスタグラムでも、異なる4人の女性を捉えた写真に、「あなたのお気に入りのアイテムをコメントに書いて、ここで新しい友達をつくろう!」とメッセージを添えた投稿がある。この投稿には、ファンからのコメントが90件以上寄せられている。
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海を感じさせるフォトジェニックなパッケージに、サンタモニカの太陽をイメージしたキャッチーな製品のネーミング。そして、マルチカルチャル(多文化的)な友人とのライフスタイルをイメージさせるコミュニケーション。
ファウンダーのLiu氏が描く、インクルーシブなビーチカルチャーが反映されたブランディングは、「エモさ」を重視するZ世代の心を掴んでいるようだ。
日本へのリスペクトから生まれたブランド
おうち時間が増えたパンデミック以降、スキンケアを「自分と向き合うセルフケアの時間」として捉える流れが顕著になってきており、肌も心も整える丁寧な美容ルーティンや、内面からの多様な美しさを重視するスロービューティを謳ってきたアジア系美容ブランドの追い風となっている。
こうした背景から、近年は、スキンケアを通してアジアの美容文化を伝え、メンタルヘルスなどにアプローチするコミュニケーションが支持を得ているようだ。