神尾楓珠「僕もそうでした」 SDGsの面白さを知るZ世代として


古い学校の校舎をリノベーションし、人気の「道の駅」に再生した千葉県の取り組みにも心を動かされた。

「その道の駅には、宿泊施設も併設されていて。子どものころ、学校に泊まってみたかった僕にとって、それはもう夢のような場所(笑)。そこでは給食も食べられるんです。大人になって『もう一生、給食は食べられないんだなろうな』と寂しく思っていたので、スタジオでVTRを見ながらワクワクしました」

自身の出身校について尋ねると「幸いなことに、僕の母校はちゃんと残っています」としながら、ひと呼吸置いて「でも」と続けた。

「もし、自分の母校が跡形もなく消えてしまったら、とても悲しいと思う。だから、たとえもう学校じゃなくなったとしても、校舎がこんなふうに再生されて、たくさんの人が集える場所になるというのは、卒業生にとっても嬉しい取り組みですね」

番組では、規格外とされ流通に乗らなかった野菜を販売する「アップサイクル・マルシェ」の取り組みも紹介。「昔から料理することが好き」と話す神尾。だが、これまでは無頓着に食材を調達していたと打ち明ける。

「恥ずかしいんですが、僕はそれまで食材のこととかあまり深く考えていなくて、規格外野菜を販売するマルシェがあることも知りませんでした。でも、これからは、食材の産地のことなどももっと考えていきたいと思います」



昨年末に公開された映画『彼女が好きなものは』では、自身のセクシャリティに葛藤するゲイの主人公を演じた。同じような役を演じた友人から話を聞いたり、自分なりに役作りをして挑み、実際に演じて感じたのは、「好きになる対象が違うだけで、人を好きになる気持ちに違いなんかない」ということだったという。

「社会には、自分のセクシャリティのことで生きづらさを抱えている人もいます。それはきっと、世の中の『普通』にとらわれて、そこからはみ出ていると感じてしまうから。僕はちょっとずつでも、世の中の『普通』という考え方を変えていけたらなと思っています」

「Z世代の代表」と称されることも多い。当の本人は「そんな意識も、自覚もまったくないんですけど」と笑う。

「でも、仕事について『安定性を重視する』のがZ世代の特徴と言われているそうですが、その点は僕も完全にそっちタイプ。10年後も20年後も、俳優のお仕事を安定して続けていたい。野心とかそこまであるタイプじゃなくて、普通に楽しく生活できればいいな、って。

よく『仕事とプライベート、どっちが大事?』なんて話題があると思いますけど、僕は『結局はプライベートかな』と思っていて。プライベートを充実させるためにも仕事を一生懸命やる、そんな感覚で……あ、やっぱり僕もZ世代なんですかね(笑)」
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文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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