昨年6月には、FigmaはシリーズEラウンドで2億ドル(約230億円)の資金調達をし、企業価値は100億ドル(約1.1兆円)となった。米フォーブスは、同社の株式約10%を保有するフィールドと共同創業者のエヴァン・ウォレスの保有資産を、10億ドル(約1100億円)と試算している。
彼らのミッションはシンプルだ。Google Docsがワードプロセッシングに、GitHubがプログラミングに果たした役割を、デザインの世界で実現させたいと考えている。「すべての経済活動は、フィジカルからデジタルに移行している。デザインはその中でも最新の動きをしているんだ」とフィールドは言う。
「そして、デザインはチームスポーツです。もともと、コラボレーションしないとできない作業なんだ」
10代からシリコンバレーで経験を積む
フィールドは、米カリフォルニア州ソノマ郡にあるテクノロジーに特化したマグネット・スクール(訳注・米発祥の特別なカリキュラムを持つ公立学校)の高校に通い、友人たちのためにロボットやウェブサイトを制作した。ブラウン大学のコンピュータサイエンス学科のグループ研究では、後のビジネスパートナーとなるウォレスに出会う。ウォレスは、ピクサー社へのインターン中に、立体プールでボールが跳ねるアルゴリズムを考案するなど、才能が際立っていた。
フィールドはFlipboard社でのインターンののち、大学を中退。10万ドルを受け取り、ティール・フェローシップ (訳注・ペイパル創業者で投資家のピーター・ティールが11年に開始した若手起業家育成プログラム)としてビジネスを始めた。
昨年、2億ドルの新しい資金を得て、Figmaが次に決めなくてはならないのは、いかに海外展開、企業買収を進めるかだ。そして、まだ開発初期段階であるFigJamを含め、「すべてを網羅する解決策を提供する」という最終目標のために、新しい機能を開発していくことが求められている。
「プロダクトに満足していないユーザーも多い。改善してほしいことがあるからです。それは僕に現実を直視させ、突き動かす衝動になっている」と彼は言う。「でもユーザーが満足しているときは、本当にうれしい。それが僕の原動力です」。