同社は6月10日、テキサス州オースティンで開催された大型カンファレンスConsensusで、このプロジェクトを発表した。アメリカン・エキスプレスは、暗号通貨の取引サービスおよびウォレットを提供するAbraとの提携によるクレジットカードで、今年後半から、米ドルで取引を行うユーザーのあらゆる購入アイテムに、暗号通貨のリワードを還元する計画だ。
発表に先立ちフォーブスの取材に応じたAbraのビル・バーハイトCEOによると、暗号通貨のリワードは、同社がサポートする100種類以上の暗号通貨から選択可能で、年会費や海外取引手数料は無料になるという。さらに、このカードは、旅行やダイニング、ショッピングプロテクションに関するオファーなど、アメックスのいくつかの特典が利用できる予定という。
アメリカン・エキスプレスのグローバル・ネットワーク・サービス担当プレジデントのモハメド・バディは、「アメックスの決済ネットワークの強さと、Abraの革新性と専門性を組み合わせることができて感激している。このカードは、クリプトの探求者と愛好家のためのクレジットカードだ」と述べた。
このカードは、アメリカン・エキスプレスにとって初の試みだが、Abraはすでに取引所のGeminiや、レンディング大手のBlockFiなどに、ビットコインやその他60以上の暗号通貨をリワードとして付与するサービスを提供している。
Abraが最初にアメリカン・エキスプレスから出資を受けたのは、2015年のことだった。同社のその他の著名な投資家には、Digital Currency GroupやPantera Capital、Stellar Development Foundationなどが含まれている。
カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置くAbraは、200万人を超える顧客を抱えており、フォーブルは同社を「ネクスト・ビリオンダラー・スタートアップ(Next Billion-Dollar Startups)」の2021年版に選出していた。Abraは、個人および機関投資家向けに20億ドル(約2700億円)以上の暗号通貨担保融資を提供しているという。
バーハイトは、彼らとアメックスの取り組みについて「最終的に購入時に即時融資枠を提供するというAbraの目標に向けた新たなステップであり、決済の未来を作るものだ」と述べている。
Abraはさらに、10日の発表で同社のアプリにNFTの売買機能を追加すると宣言した。これにより、OpenSeaのような外部のプラットフォームを経由せず、ユーザーはAbraのプラットフォームから直接NFTを売買できるようになるという。
同社は4月に資本運用部門を立ち上げ、25万ドル以上を投資する意思のある投資家向けに、ビットコインやイーサリアムなどの暗号通貨に投資する5つのファンドを提供すると発表していた。