ロシアの黒海封鎖、イエメンの1300万人を「飢餓」の窮地に

Photo by Mohammed Hamoud/Getty Images


HSAは国内の主要な小麦粉、砂糖、パン、乳製品、食用油の輸入業者であると同時に、中東最大のビスケット・スナック類のメーカーであり、エジプト最大の食用油メーカーの1社だ。それでもイエメンが直面する問題は、一企業が単独で対処するには大きすぎる。

内戦が停戦中のイエメンでは、貯水槽、道路、橋といったインフラが著しい損傷を受け、そして飢餓が拡大している。そしてその状況下でも、国連は支援に必要なだけの資金を十分に集められずにいる。人道的な危機はその他の国々でも深刻化しており、国連世界食糧計画(WFP)はイエメンの支援に充てる資金を減らさざるを得ない。

WFPがイエメンで行う緊急食料支援の対象となっているのは、約1300万人だ。食糧不足の深刻度を示す「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」で2番目に深刻な「フェーズ4(緊急事態)」に直面している人は、約500万人。最も深刻な「フェーズ5(飢饉)」の状況にある人も増加している。

WFPは「世界最悪の人道危機」にあるイエメンへの援助に、年間予算の15%(約28億ドル)を充てている。WFPイエメン事務所代表のリチャード・レーガンは、「関わらないわけにはいかない……さもなければ、人々が死んでいく」と語る。

一方、飢餓をなくすことを目指し活動を行う米国の援助団体、ブレッド・フォー・ザ・ワールドの国際政策顧問は現在の状況について、次のように述べている。

「ウクライナの危機は……食料品を運ぶ船がいる港に他国がアクセスできないとき、何が起きるのかを明確にした」

「食料不足が深刻な状況にある人たちに影響を及ぼす形で、食料が武器として使われている」

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事