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2022.06.10

テスラ株にウォール街が強気、専門家から「買い」推奨続出

Photo by Hannibal Hanschke-Pool/Getty Images

電気自動車(EV)メーカーのテスラは、ウォール街のアナリストが同社の株の評価を「買い」指標に引き上げたことを受け、6月9日の市場で株価を上昇させた。専門家たちの多くは、イーロン・マスクのEVメーカーの長期的な成長に、楽観的な見方を崩していない。

株式市場では、金利の上昇とインフレの急進による投資家の懸念を受けて、グロース株全体が苦戦する中、テスラの株価は今年に入り40%近くも下落している。しかし、テスラを担当するウォール街のアナリストの半数以上が、同社が今後も急成長するEV市場で他を圧倒する強さを発揮すると予想し、長期的な成長見通しに強気の見方を続けている。

UBSのアナリストのパトリック・フンメル(Patrick Hummel)は直近のメモで、現状のテスラ株が株価収益率ベースで過去最低レベルの安値で取引されていることから、投資家に「魅力的なエントリーポイント」を提供していると指摘し、「大胆になるべき時が来た」と述べた。

UBSがテスラを「買い」に格上げし、目標株価を現在の株価を50%以上も上回る1100ドルに引き上げたことを受けて、テスラ株は9日の市場で一時3%近く上昇した。

CFRAリサーチの上級アナリストのギャレット・ネルソンも先週、テスラ株を「強い買い」とし、「長期的な成長ポテンシャル」を理由に目標株価を1200ドルに引き上げた。

もう一つ、9日にテスラの株価を上昇させた要因は、同社の上海工場の5月の生産台数が3万3000台を超え、ロックダウンにより工場を閉鎖した前月から212%増加したというニュースだった。

「我々は、テスラのオペレーションの見通しがこれまで以上に強くなっていると考えている。半導体、ソフトウェア、バッテリーの垂直統合により、今後数年間は他社を上回る成長率と収益性が期待できる」とUBSのフンメルは述べた。

フンメルはさらに、テスラが高い受注残高を抱え、ドイツとテキサスの新工場が増産に貢献していることを指摘し、「市場は、彼らが成長性と収益性の面で競合他社よりどれだけ優れているかを、まだ過小評価している」と述べた。

テスラの株価は、先週3日の金曜日にマスクが会社の幹部宛てのEメールで、経済の先行きに「極めて悪い予感がする」と述べ、10%の雇用削減を検討していると報じられたことを受けて9%下落していた。しかし、このようなネガティブなニュースにもかかわらず、ウォール街のアナリストは強気の見方を崩さず、株価は今週に入り7%以上回復した。

UBSは、テスラが従業員の一部を削減したとしても、「長期的な成長見通しは変わらない」と述べた。CFRAのアナリストは、マスクは単純に「業界全体が減速する見通しの中で、先手を打とうとしているだけだ」と指摘した。

フォーブスは、マスクの現在の保有資産を2285億ドル(約30兆円)と試算している。世界で最も裕福な人物である彼の保有資産は、9日に60億ドル以上増加した。

編集=上田裕資

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