ビングループは5月31日、米国の半導体大手インテルと先進的コンピューティングシステムを構築するための覚書を締結したと発表した。両社はビングループの自動車部門の「ビンファスト(VinFast)」のEVやバッテリーを製造する工場などで、インテルのテクノロジーを活用すると述べている。
2016年設立のビンファストは、競争の激しいEV市場でシェアを獲得するために国内外で事業を拡大しており、3月には米ノースカロライナ州の当局と、工場の立ち上げに関する契約を結んでいた。
市場調査企業ガイドハウス・インサイツのサム・アブエルサミドは、競合の半導体メーカーと同様にインテルが、EVのバッテリーモジュール間の無線通信をサポートする可能性があると話す。台湾の受託チップメーカーUMCは4月、トヨタが支援する自動車部品メーカーのデンソーとパワーチップの生産工場を建設し、日本で半導体を生産すると発表していた。
「EVの市場は非常に競争が激しく、ビンファストの側としては一定レベルの品質で、適正な価格帯の車両を製造するためにインテルとの提携は重要だ」と、アブエルサミドは述べている。ヴィングループは昨年、台湾のフォックスコンと、車載用アプリケーションを開発する可能性があると述べていた。
インテルの5Gテクノロジーは、ビングループのスマートシティ計画でも利用される見通しだ。ビングループはAI(人工知能)を活用するセキュリティシステムを備えた、住宅プロジェクトを進めている。
ハノイのMekong EconomicsのチーフエコノミストのAdam McCartyは、両社の取り組みが、ベトナムの道路の安全性を高めるプロジェクトでも利用されると予測している。ビングループは、不動産や小売、ヘルスケアなど、ベトナムの中核的な経済セクターで大きなシェアを獲得している
フィッチ・ソリューションズの3月のレポートによると、2021年に2.6%、2020年に2.9%だったベトナムのGDP成長率は、パンデミックの収束を受けて今年6.8%に達する見通しという。