「2020年くらいから採用にも力を入れ、優秀なメンバーが少しずつジョインしたことで成長率も売上高も一気に伸びて。社長である私がいちばん役に立っていないかも?と思うくらい(笑)、頼りになるスタッフも増えました。2019年には1億円だった年商が次の2年で17億に増えたことで、ブランドを拡大できて自信に繋がった。上場が一気に現実味を帯びてきたんです。だったらぜひチャレンジしようって」
「こんな急成長は想像してなかったですけどね」と笑顔で話す尾崎だが、彼女がIPOを目指すのには、もう1つの理由があるという。それは、世の中に対する影響力の大きさだ。
「自分が好きなことを突き詰めて努力した結果、IPOを成し遂げることができたら、起業家・経営者としてまた違った景色が見られるようになるんじゃないかと思うんです。私は女性でも経営者としてやれるんだってことを証明したい。同じことを言うのでも、今の私が言うのと上場させた私が言うのでは、だいぶ世の中に対する影響力も変わるから。
DINETTEには“女性を輝かせる”というコンセプトがありますが、私が上場を目指して頑張りたいと思う軸には、女性活躍をcheer upしたいという思いがあるんです」
圧倒的な結果を出して「突き抜けた」存在になる
起業から5年、尾崎は多くの起業家と同じく、さまざまな壁を経験してきた。創業当初はキャッシュフローに追われ、自分の給料は後回しに支払いに奔走。少人数のスタッフでマルチタスクをこなしながら、VCから資金調達するためにあらゆる人脈を頼り、50社以上を回って説得したこともある。そうやってなんとか調達した資金1000万円のおかげで、PHOEBE BEAUTY UPを立ち上げ、いまに繋がっている。
2021年の初めには、信頼していた古株のメンバー3人が一気にやめてしまったこともある。「この時は本当にショックで、自分の経営が間違っていたんじゃないか」ととにかく落ち込んだという。しかし、逃げずに向き合うしかないと、これをきっかけに採用に本腰を入れた。