ビジネス

2022.06.12

「占星術マーケティング」が流行の兆し、大手ブランドの事例

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P&Gにとって、今回の480個のプレゼントは、成功が約束された定番のやり方ではない。同社は、これまでの数十年にわたり、自社の(たいていは他社製品より質の高い)商品サンプルを、米国のすべての家庭に配布するという方法で、市場シェアを拡大してきた。この戦略をとることで、あっという間に各カテゴリーのトップブランドの座を獲得してきたのだ。

一方、マクドナルドと、ファストフード・チェーン「デルタコ」は、水星逆行に便乗したマーケティングが一大ビジネスになりうると考えた。水星逆行とは、地球上の我々から見ると、ある種の錯覚によって、水星の軌道が逆向きになったように見える現象だ。占星術師たちは、この見かけ上の逆行の期間に、テクノロジーやコミュニケーションの障害が発生し、人々は気分をかき乱されると考えている。だが、それがファストフードとどう関係するのだろう?

マクドナルドは、TikTokの人気タロット占い師マダム・アダム(Madam Adam)と提携し、「マクドナルドにインスパイアされたタロット占い」のコンテンツを配信した。ちなみに、マダム・アダムは男性で、TikTokで150万人のフォロワーを有し、「TikTokの辛口タロット占い師」かつ「セルフケア・マニア」を自称している。彼のウェブサイトではタロット占いを予約できる。1回50ドル。企業向けは、ちょっと二の足を踏んでしまう350ドルだ。

このパートナーシップの奇妙な点は、マダム・アダムの占いがまったくファミリー向けでないことだ。というか、筆者が視聴したいくつかのエピソードでは、2文に1つはFワードが含まれていた。

個人的には、マクドナルドが1955年以来、ずっと苦心して育ててきた企業イメージとはまったくと言っていいほど相容れないと思う。これは、新たなオーディエンスを獲得するための戦略なのだろうか?

一方、デルタコは、2022年1月から継続して「水星逆行の特別キャンペーン」を実施しており、水星逆行のたびに毎回異なる新たな企画が行われる。2022年最初の水星逆行は、1月14日から2月3日までの期間だった。5月中旬から6月上旬までの今回の水星逆行期間は、アプリでの3ドル分の購入ごとに、「チキン・チェダーローラー」1個が無料でついてくるという内容だ。

しかし、おそらくはどちらのチェーンも、水晶玉を覗き込んで、自社のマーケティングやお金を、食べ物の質やおいしさ、健康への配慮を中心とするように切り替える必要があるのではないだろうか。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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