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2022.06.12 17:00

「占星術マーケティング」が流行の兆し、大手ブランドの事例

Getty Images

占星術は、ナンシー・レーガン元米大統領夫人の頼みの綱であり、米国の元大統領フランクリン・ルーズベルトやジョージ・W・ブッシュ、あるいは英国のウィンストン・チャーチル元首相も利用していた。芸能界にも、1930年台に活躍した映画女優メイ・ウエストのほか、俳優兼監督のジョージ・クルーニー、女優のキャメロン・ディアス、マリア・シュライバー(俳優アーノルド・シュワルツェネッガーの元妻でジャーナリスト)など愛好家は多い。史上もっとも有名な科学者のひとりとされるアルベルト・アインシュタインでさえ、古代より伝わるこの信念体系からの「教え」を好んだ。

そして今、米国最大の総合家庭用品メーカーP&Gも、占星術を活用しようとしている。同社の消臭芳香剤「ファブリーズ」を手掛けるチームは、有名占星術師アリザ・ケリー(Aliza Kelly)とタッグを組んで、生まれた星座にマッチするようにデザインされたクルマ用芳香剤のコレクション「カー・ストロロジー(CARstrology:自動車と占星術の造語)」コレクションを開発・発売したのだ。

これは冗談ではない。このシリーズによると、牡牛座のあなたは、洗練された美的感覚と、人生におけるちょっとした物事への深い感謝の念を備えているので、おすすめのクルマ占星術芳香剤は「ラッシュ(lush:「贅沢な」という意味)」だ。ファブリーズの説明によると、この商品の配合は、バニラの甘い香りをベースに、これに完璧にマッチするメロン、リンゴ、ムスクのノートを加えているという。

さて、あなたの星座は何座? あなたは、自分の星座に合ったクルマ用芳香剤を買いたいだろうか?

あなたがパートナーと一緒に車に乗っていて、2人の星座が違ったらどうするのだろう? さらに、あなたのお子さんも合わせて、3人とも星座が違ったら?

「カー・ストロロジー」戦略は、間違いなく最近のパーソナライゼーションのトレンドを意識したものだろうが、1台の車にしばしば複数の人が乗るという事実に誰も気づかなかったのだろうかと、不思議に思わずにはいられない。ひとつの香りを選ぶことが、揉め事のきっかけになりはしないだろうか? 乗客のひとりが、自分の星座と正反対の香りじゃないかと言い出して、運転手と口論になるかもしれない。

ファブリーズのソーシャルメディアチャンネルでは、カー・ストロロジーのプロモーションのため、星座にちなんだ記念品ボックス計480セットが当たるくじが行われている。テレビ、ストリーミングサービス、YouTube、ラジオ、ゲームアプリでも、商品とコンセプトを宣伝するキャンペーンが展開されている。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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