米実質国内総生産(GDP)が2022年1〜3月期に年率換算で前期比1.4%縮小して以来、投資家はリセッションへの警鐘をたびたび耳にするようになっている。とはいえ、じつのところ米景気の見通しは思われているほど悪くなく、4〜6月期のGDPについては、2〜3%程度のプラス成長に転じ、前期から着実に回復するというのが大方の予想だ。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチは、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ退治に取り組むなかで、米景気はハードランディングに向かうという見方が市場には多いが、米景気は縮小というよりは減速しているだけであり、したがってリセッションは回避できそうだとの見方を示している。ローチは、2022年通年の米GDPは2.6%成長すると予想している。
ローチによれば、第1四半期のGDPは「異常」であり、それを除けば、米経済は堅調な消費のおかげで物価上昇圧力を跳ね返すのに「十分な勢い」がある。インフレも今年後半には落ち着いていく可能性が高いとみる。
ネーションワイドで投資調査の責任者を務めるマーク・ハケットも、相場の地合いの悪さは「誇張されている」との見方を示し、企業収益や消費者支出、資金フローは引き続き底堅く、大半の経済データは「期待のもてる状況」を映したものになっていると述べている。
CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストボールは先週のフォーブスの取材に、マーケットにとっては1994年のように、FRBが経済成長を損なわずに物価高を抑え込むソフトランディングがいちばん望ましいとコメントしていた。当時、FRBは13カ月で7回利上げしたが、米経済がリセッションに陥るのは免れている。
一方、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローンは最近のリポートで、「世界的なリセッションの脅威が高まっていることから、企業収益がはたして今後も持続可能なのか深刻な懸念が生じている」と指摘。さらに、世界的な供給ショックは「和らぐ兆しがほとんどみられない」ため、企業収益にはいちだんの下押し圧力がかかりそうだと分析している。