空想が創造力を高める?「マインドワンダリング」が有効な理由

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目標や将来のことについて考える、昔のことを振り返る、あるいはただ、「今日の夕食は何にしようか」などと思いを巡らす──科学的な研究の結果、私たちはそうした「マインドワンダリング(心の迷走)」に毎日、起きている時間の45%以上を使っていることが示されているという。

臨床心理学者のチャンダ・レイノルズ博士は、退屈を紛らわせる、あれこれ想像する、不快または有害な考えから気持ちをそらすなどといった形で、マインドワンダリングは私たちの役に立っていると話す。

起きている間の半分近くの時間も空想にふけっている(ボーッとしている)というのは、確かに非生産的なことのように思えるかもしれない。だが、専門家らによれば、マインドワンダリングには次のようなメリットがある。

「創造力」を生み出す

ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院の関連機関、認知神経科学研究所の元主任研究員、モシェ・バー教授(認知神経科学)は、「幅広いマインドワンダリングは、創造性に必要なものだ」と指摘する。

2019年にジャーナル「サイコロジカル・サイエンス」に発表された研究結果によると、創造的なアイデアの20%は、マインドワンダリングの中で生まれたものだという。

「気分」を変える

カリフォルニア大学バークレー校の研究によれば、マインドワンダリングには型にはまらない思考を促すだけでなく、気持ちをリラックスさせる効果もある。

「認知的柔軟性」を高める

ジャーナル「サイコロジー・リサーチ」に掲載された研究結果によれば、マインドワンダリングは認知的柔軟性に関連していると考えられる。認知的柔軟性(または認知的シフト)は、脳が状況の変化に適応する能力のことだ。そこには創造的な方法で新たな課題に取り組む、好ましくない問題を乗り越えるといった能力も含まれるという。

別の研究でも、柔軟性や独創性がより良い問題の解決策につながること、マインドワンダリングがそれに関連していることが確認されている。
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編集=木内涼子

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