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2022.06.09

フォーブスが選ぶアジアの30 UNDER 30で注目の日本人起業家

Panchenko Vladimir / Shutterstock.com


セキュリティ分野で活躍する日本人


今回のリストには、AI(人工知能)のポテンシャルを認識し、人材の採用や顧客サービス、セキュリティなどの分野でそれを活用しようとする起業家や研究者らが選ばれた。

その一人が、データを暗号化したまま処理できるシステムを開発するスタートアップ「アカンパニー(Acompany)」の創業者の高橋亮祐だ。同社は、この分野のテクノロジー企業としては、通信大手のNTTに次ぐ企業とされている。2018年に名古屋大学の学生だった高橋が設立したAcompanyは、当初はブロックチェーン技術の活用を目指していたという。

名古屋大学と名古屋工業大学の学生たちが設立した同社は現在、世界的に注目が高まる秘密計算技術の実用化に向け、「QuickMPC」と呼ばれるエンジンを開発し、ANRIやDG Daiwa Venturesなどから約240万ドルを調達している。

さらに、もう一人日本から選ばれたセキュリティ分野の起業家が、早稲田大学大学院に在籍中にソフトウェア企業の「イーグリス(Eaglys)」を設立した今林広樹だ。同社は、AIを活用した高度な暗号化テクノロジーによって機密性とプライバシーを確保しながら、大量のデータを処理し、分析するためのソフトウェアを提供している。

2016年設立の同社は、これまでにSBIインベストメントや博報堂DYホールディングスなどから約900万ドルを調達している。

シンガポールとインドネシアの起業家


シンガポールからは、2019年にAccredifyを共同創業したZheng Wei Quah、Shaun John Cheetham、Edmund Chew、Derrick Leeの4人が選出された。同社は、組織や個人に改ざんが不可能でトラッキングが可能な文書をデジタルで発行し、検証するソリューションを提供している。

Accredifyはこれまで、150万枚のドキュメントを発行して、1100万件以上の検証を処理しており、シンガポールの保健省と共同で、新型コロナウイルスの検査規格のHealthCertsを作成した。昨年は50万ドルの収益を上げた同社は、今年はその4倍の収益を見込んでいる。

セキュリティ分野のもう一人の起業家が、インドネシアでAIを使った認証と不正防止のプラットフォーム「Verihubs」を立ち上げたRick Firnandoだ。現在29歳の彼は、インドネシアのBank Central AsiaやオーストラリアのCommonwealth Bank、Eコマース企業のBukalapak、決済プラットフォームのPayfazzなど、100社以上のクライアントにサービスを提供している。

過去1年間に3600万人以上のユーザーの認証を行ったという同社は、YコンビネータやInsignia Venture Partners、MDIなどから280万ドルを調達している。

編集=上田裕資

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