二酸化炭素からステーキ? 代替タンパク質、驚愕の最新事情

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いま最もクリエイティブで革新的な産業のひとつが「代替タンパク質」だ。数カ月ごとに最新のフレーバーや原料が登場し、常に新技術が開発されている。最近の例ではジャガイモ由来のポテトミルク、発酵乳製品、培養肉、3Dプリンターで再現されたステーキ……まだまだある。消費者の好みや傾向を見るかぎり、このトレンドが廃れる気配はなさそうだ。

代替タンパク質市場、「2030年までに1250億ドルに成長」


世界的な穀物企業アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)が2月8日に発表した「2022年代替タンパク質市場展望」によると、代替タンパク質市場は2030年までに1250億ドルに成長すると予測されている。より持続可能な食品(サステナブルフード)への移行を支持する非営利団体グッド・フード・インスティテュート(GFI)も、1月に最新トレンドの動向を発表した。驚くにはあたらないが、どちらのレポートからも、代替タンパク質の原料がますます多様化していることがわかる。

ADMの世界食料部門を率いるレティシア・ゴンカルヴェスによると、この1年で肉、チーズ、乳製品の代替商品は2倍以上に増えたという。

市場の需要を考えれば、これは当然の結果だ。

英国の高級スーパーマーケット、ウェイトローズの「2022飲食料品レポート」によると、顧客の70%近くが、食品のカーボンフットプリント(製品の原材料調達から生産・流通を経て廃棄されるまでの温室効果ガス排出量)を重視して購入しているとわかった。米オーガニック食品チェーン、ホールフーズ・マーケットの最新動向レポートによると、2022年の最大のトレンドはフレキシタリアン(ゆるい菜食主義)だった。

レストラン出荷は前年比60%増


市場の動きを示す証拠はまだある。米市場調査企業NPDグループによると、2021年4月に食品業者からレストランに出荷された代替タンパク質製品は、前年比で60%増加したという。要するに、人々は代替タンパク質を求めていて、その需要は当分続くということだ。

「進化する消費者の好みや食感への期待に応えられる健康志向の商品が、今後10年でさらに増えるだろう」とゴンカルヴェスは言う。

ADMによると、代替タンパク質は大豆やグリーンピースといった従来の原料から、もっと斬新で型破りな原料に移行しつつあるという。海藻や昆虫はまだわかるが、驚きなのは「火山灰」や「空気」だ。

これらの革新的な代替タンパク質は、どちらも微生物による発酵のプロセスを利用している。この微生物発酵が、代替タンパク質市場を未来に向けて大きく動かしていくのは間違いない。
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翻訳・編集=大谷瑠璃子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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