まず激辛料理であること。それがビジュアル的にも伝わりやすい見た目からなのか、よく選ばれる料理は、ザリガニの麻辣煮込み(麻辣龍蝦尾)やカエル鍋のようなジャンク系が多い。食材の意外性にもインパクトが感じられるからだろう。
さらに、安くて手軽に食べられる中華フードコートの小吃(軽食)系料理も登場することが多い。QRコードでの注文や配膳ロボットなど、まだ日本の飲食店にはそれほど広まっていない、中国ならでは先進的な提供システムに注目が集まっているからかもしれない。
以前、当コラムでも「ガチ中華」を特徴別にジャンル分けしたことがあったが、激辛でジャンクな料理を「ジャンク小吃&麻辣進化系」、中華フードコートなどで味わえる軽食を「フードコート&ライト小吃系」と命名している。
とはいえ、それは全部で10に分けたジャンルのうちの2つにすぎない。実際の「ガチ中華」こと「ディープチャイナ」の世界は、メディアで喧伝される以上に多様化しているのだ。
「ガチ中華」に注目が集まるのは筆者としてはうれしいのだが、それが特定のジャンルに限定されるのは、少し残念だ。これまで日本人が親しんできた中華料理とはまったくの別物といってもいい料理だからだ。
「ガチ中華」は世界各地に広がっている
「ガチ中華」とは、ひと言で言えば「現代中華料理」なのである。その多くは、21世紀の中国の飛躍的な経済発展によって生まれた新作料理だと言っていいと思う。
世界三大料理を生み出したグルメ大国、中国である。社会が豊かになったことで、新たな食材を採り入れたり、伝統に根ざしつつも斬新な調理法が開発されたりしたことで、バラエティ豊かな料理が続々誕生した。