これがどれだけすごいことかわかるだろうか。ホワイトハウスに招待され、オーバルオフィス(大統領執務室)で対談したアーティストは、過去にいなかったはずだ。オーバルオフィスは通常、外交官や閣僚などと会う場。そこにBTSが招き入れられたのは、異例だった。
筆者がアメリカにおけるBTSのプレゼンスを強く認識したのは、4年前の2018年。国連でのスピーチだった。堂々とした姿で、流暢な英語を話し、まっすぐ一人ひとりに届けとばかりに語りかけていた。その美しい詩のようなスピーチに、驚愕した記憶が蘇る。
It was great to meet with you this week at the White House, @bts_bighit. The rise in anti-Asian hate crimes requires all of us to stand up, speak out, and give hate no safe harbor. Thanks for all you’re doing. It matters. pic.twitter.com/R1YpKnO9zA
— President Biden (@POTUS) June 4, 2022
バイデン大統領とBTSのやりとりの一部
スピーチのスクリプトが良かったのはもちろんのこと、その体、顔、声、すべてから放出される表情に釘付けになった。筆者はBTSの“ファン”というわけではないのだが、当時の記憶はとても鮮明に残っている。
バイデン大統領への敬意?
今回ホワイトハウス訪問したBTSの姿には、いつもと違う点があった。それは、もうすでに多くの人が気づいていることだろうが、全員揃って髪色がダークカラーになっていたことだ。元々比較的明るめから中程度の肌の濃さと、一般的にはダークな髪・瞳という強いコントラストを持っているアジア人のこのスタイルは一層厳粛で正式な感じが強調される。
それを彼らが選んだのは、なぜだろうか。
ひとつは、「この好機をありがたく受け止め、敬意としてフォーマルな姿勢を示した」ということだろう。特に頭部がダークカラーであることで、落ち着き、重厚感、シリアスさという印象を与えることができる。肌の明度とのコントラストもあるので、鋭敏さも加わる。