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2022.06.07

【追悼 出井伸之氏】『時代の先端を走っていた』リンクタイズ 高野 真

高野真(左)、出井伸之氏(右)

最初に出井さんにお会いしたのは、同じ委員をしていたNGOの会合だった。何度か重ねる会合で、いつも机の反対側から睨みつけてきた。怖い人というのが最初の印象である。その後、突然「うちの会社(クオンタムリープ社)の社長にならないか」と言われた。それ以来、実の父親のように親しくさせて頂いた。

仕事上の付き合いはもちろん、ゴルフに、そして、飲みにいつも気さくに誘ってくれた。「高野君も銀座に行きつけの店の一つも持たないとダメだよ」と言って、高級クラブのママを紹介してくれ、それ以来、銀座はプライベートな居場所の一つになった。

いつもダンディで、いつも男女問わずモテ、そして、いつも最新のテクノロジービジネスに目を光らせていた。人には迎合せず、しっかりした意見を常に持っていた。「何でいつもそんなに強面なんですか?」と聞くと、「優しい顔をしているといろいろ人が寄ってくるだろ。怖いくらいが丁度いいんだ」と。

今や絶好調なSONYをダメにしたのは出井さんだと陰口を叩く人もいたが、絶対違う。いつも出井さんが口にしていたビジョンは間違いなく時代の先端を走っていた。今の絶好調のSONYの礎を築いたと確信している。

あんなにお世話になったのに、あんなに親しくしてくれたのに、僕は何も出井さんにしてあげられなかった。これから出井さんがしたであろうことの助けを少しでもできればと思う。

出井さん本当にお世話になりました。ご冥福を心よりお祈りいたします。

文=リンクタイズ 高野 真

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出井伸之氏のラストメッセージ

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