アムステルダムの調査会社クリスタル・ブロックチェーンのデータによると、2017年から2022年にかけて、世界最大のダークネットの麻薬市場であるヒドラ(Hydra)というロシア語のサイトの利用者らが、7億8000万ドル相当の資金の洗浄にバイナンスを利用したという。
さらに、ドイツ警察によると、総額8億ドルの被害をもたらした投資詐欺集団が2020年から、マネーロンダリングのためにバイナンスを利用しているという。
不正な資金の流れは、年間9.5兆ドルとも言われるバイナンスの取引のごく一部に過ぎないが、各国の規制当局や議員が暗号通貨の不正利用に懸念を示す中で、この報道は重要だ。米連邦取引委員会(FTC)は先週、2021年1月から2022年3月までの間の、暗号通貨が絡む詐欺による被害額が10億ドルを超えたと報告していた。
ロイターはまた、北朝鮮の核兵器プログラムの資金調達に関与したとされるハッキンググループLazarusが、2020年9月にスロバキアの暗号通貨取引所Eterbaseから盗んだ約540万ドル相当の暗号通貨の資金洗浄のためにバイナンスを利用したと述べている。
ロイターは今年1月に、バイナンスが、自社の幹部らが懸念を示したにももかかわらず、2021年半ばまでの間、不十分なマネーロンダリングの検査体制を敷いていたと報じていた。
バイナンスの最高コミュニケーション責任者のパトリック・ヒルマンはロイターの取材に対し、今回の報道が正確ではないとEメールで回答した。ヒルマンは、同社があらゆる違法資金を確実に追跡し、ロシアを含む暗号通貨を用いた犯罪ネットワークを破壊するために、法執行機関と緊密に協力していると主張したという。
バイナンスは、フォーブスに宛てた声明の中で、この報告書が「2019年の古い情報と検証されていない個人の証言を用いたものだ」と指摘した。
「当社は、フィンテック業界で最も厳格なAMLポリシー(マネーロンダリング防止策)を実行し、法執行機関の取り組みを支援する上で重要な役割を担っている。この記事が掲載されて以来、世界中の法執行機関のパートナーから支援の声が寄せられている」と、バイナンスの広報担当者は述べている。