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2022.06.07 16:00

中国アントがシンガポールでデジタル銀行設立、海外に活路

ジャック・マー(Getty Images)

ジャック・マー(Getty Images)

中国のジャック・マーが率いるフィンテック大手のアントグループは6月6日、シンガポールでデジタル銀行を立ち上げると発表した。

この動きは、杭州を拠点とする同社の海外展開の継続を示すものだ。中国政府の逆鱗に触れ、2020年秋の340億ドル(約4兆4000億円)規模のIPOを突然中止に追い込まれたアントは、母国では依然として規制の圧力にさらされている。

6日の発表によると、アントはシンガポールでデジタルホールセール銀行業を手がける子会社の「ANEXT Bank」を設立し、地域の中小企業に金融サービスを提供し、特に国境を越えて事業を展開する企業を支援するという。

元DBS幹部のトー・スーメイが代表を務める同社は、現地のBtoBマーケットプレイスProxteraと連携し、2通貨対応の「ANEXTビジネスアカウント」の試験提供を開始している。同社の事業は第3四半期に、正式に発足する。

シンガポール金融管理局(MAS)の最高フィンテック責任者のソプネンドゥ・モハンティは、「アントの試みは、シンガポールのデジタル銀行業界において、新たなマイルストーンとなる」と述べている。

シンガポールでデジタル銀行の開設を目指す企業は、アントだけではない。先日、中国の不動産デベロッパーの「グリーンランド・ホールディングス」とリンクロジス香港(Linklogis Hong Kong)を含むコンソーシアムが所有する「グリーンリンク・デジタル銀行」が、同国で事業を開始した。さらに、テック企業のシー(Sea)やアンソニー・タンのグラブ・ホールディングスも2020年にデジタル銀行のライセンスを取得しており、年内に始動する予定だ。

アントは、4月にシンガポールのフィンテック企業2C2Pの株式の過半数を取得したと発表し、東南アジアでの展開を強化している。これにより、2C2Pの加盟店はアントの電子ウォレットAlipay+のネットワークに接続可能になる。

編集=上田裕資

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