ビジネス

2022.06.07 12:30

「日本一働きがいのある会社にしたい!」NECの若手リーダーと組織開発プロの挑戦

合同会社こっから代表社員・黒川公晴(左)、NEC主席ビジネスプロデューサー・岩田太地(右)(写真=小田駿一)


新しい時代の「学び」とは?


岩田:あまり人材を「育てる」という意識はないです。こちらも育ててもらうから、いかに学び合えるか、ということを意識している。学び合いは、世代はあまり関係ないのだと思います。一年目、二年目の人も最前線で活躍できる。わざわざ新入社員だからって下積みの仕事をやらせると、せっかくのポテンシャルが失われることがある。いかに世代関係なく学び合えるか、は課題です。ただ、自己評価が低い人も多いんですよね。「教える側になろう」という意識にならない。そこはもう少し意識しても良いのかな、と思います。

黒川:「学び」というテーマが最近ハイライトされていますが、「なぜ学ぶのか」という理由を理解するのがとても大事なのではないかと最近思っています。松下幸之助の「人をつくる」も、自分の仕事の意義を社会ときちんと繋げて、責任感の高い人間をつくっていく、という「エンゲージメント」の話をしていると思っているのですが、当時と今とどこが違うのかというと、個人が自分のキャリア形成にもっとオーナーシップをもっていく、という時代になっているんだと思います。

自分の大事にしている価値観はこれで、この会社だったらこういうふうに自分を表現できて、そのためにはこのスキルが必要であるな、という「学び」の理由がしっかりセットできていると、学習効果が全然違います。そこを、マネージャーだったり、同僚だったりがそこをサポートしていく、コーチング的な関わり方が大事なのではないかと思います。

岩田:日本人は「教わる」の経験はあるが、「学ぶ」の経験は少ないのかもしれません。自身は海外の大学に行ったので、テキストがないなかで「お互いに学び合う」ことを違和感なく受け入れられますが、研修でも、「教わる」ことを期待している人が多くいる。「学び合いによって自身がよくなった」という経験があまりないので、そういう経験が増えていけば、学び合いも浸透していくのではないか。

NECの強みは、お互いのことを真面目に考えられる、学び合える人たちの土壌があることです。そこがNECらしさだと思うし、みんなそこが好き。その上に多様性がつくれると、とても強くて面白い組織になると思っています。

黒川:マネージャー職のコーチング的な役割はこれからますます大事になってくると思います。ただ、捉え方の問題でもあるんですが、自分の仕事もやらなければいけないし、人の仕事も見なければいけないと思うと、負担感が半端なく大きい。自分の認知を高めていく、自分の器を広げる、という意識でやればよいのではないか。そういうスタンスで人と接していくと、自然と人はエンパワーされていくのではないかと思います。

岩田:自分がわかると、自分を開きやすくなる。人の考えもより聞きやすくなる。自身もよくなってきてるな、と思います。少しずつですけどね。自分を恐れずにオープンにして、そこに共感してくれる人が集まることは、絶対的な価値になり、強い組織になるのではないかと思っています。
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文=岩坪文子

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