米国ではグーグルはもう死んでいる? SEOは検索業界をどう「蝕む」か

Prasert Prapanoppasin/Getty Images

(この記事は、米国のテクノロジー・社会をテーマとするメディア「dkb.io」から翻訳転載したものである。)

米国の掲示板型ソーシャルニュースサイト「Reddit(レディット)、https://www.reddit.com/」。ニュース記事、画像のリンクやテキストを投稿し、閲覧したユーザーはコメントをつけることができる。主に英語圏のユーザーを対象とするが、日本語版 https://www.reddit.com/r/ja/ も開設されている。

実は米国で、この「レディット」を検索エンジンとして利用する人が増えている。レディットはいま米国で最もよく使われている検索エンジンといっていいほどなのだ。だが、当の運営チームだけがその事実に気づいていないらしく、検索しやすいインターフェイスに改善しようという気配が見られない。そこで人々は結局グーグルを開き、検索窓で、検索キーワードの末尾に“レディット”と付け加えてリターンキーを押す。

「レディット」で検索を始めた米国の人々


米国の有名Lispプログラマーであるポール・グレアムはグラフ(最下段中央が「レディット」)を引用し、「ソーシャルメディアとしてのレディットはまだ最盛期を迎えていない」と述べている。

(ポール・グレアムのツイッター)

レディットはソーシャルメディアとしては珍しく、創設から15年たってもまだ最盛期を迎えていない。

ではなぜ、人々はわざわざレディットで検索するのだろう? 

ひと言で言えば、グーグルの検索結果が以前ほどは「役に立たなく」なっているからだ。さらに言えば、いまネット上には信頼できない情報があふれているからでもある。

SEOによる最適化、「精選」された検索結果、アフィリエイト──


最近、レシピや商品レビューを検索したことがある人なら、グーグルの検索結果がもはや「役に立たない」場合があることをご存じだろう。上部に表示される広告以外の検索結果はSEO(検索最適化)技術によって最適化され、アフィリエイトのリンクや、広告で埋め尽くされたウェブサイトが多い。

それでもグーグルでまともな検索結果が得られる分野はいまだに多く、とくに事実情報を調べる場合には有用だ。グーグルの検索結果は十分役立っている、グーグルでまったく問題ない、という人も多いかもしれない。


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しかしそういう人はもしかすると、グーグル検索しても満足のいく結果が得られないことを潜在意識でわかっているのかもしれない。だから、検索したいことがあっても検索しないよう、「自らを戒めている」のだ。
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翻訳・編集=北綾子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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