ラボグロウンダイヤが老舗の救世主に?「ENEY」予想以上の反響のワケ

「ラボグロウンダイヤモンド」を使用したENEYのジュエリー / デザイナー SHUN OKUBO

銀座の老舗百貨店「松屋」に、あるジュエリーブランドが新たな風を吹き込んでいる。サステナブルな石としても注目される「ラボグロウンダイヤモンド」を使用したブランド「ENEY(エネイ)」だ。

コロナ禍で伸び悩む松屋の新規事業として、2021年8月にスタートした同ブランドの魅力は、2万円からという手に取りやすい価格と、気軽に身につけられる多様なデザインである。

そんなENEYの世界観を、ブランディングディレクターとして立ち上げ時から支えているのが「Celvoke」元ディレクターの田上陽子。ナチュラルビューティー業界で多くの支持を集めてきた田上と、老舗百貨店がタッグを組んだ注目ブランドの戦略とは。シトウレイがインタビューする。


(左から)シトウレイ、「ENEY」ブランディングディレクターの田上陽子



ラボグロウンダイヤモンドとは?


シトウ:そもそもラボグロウンダイヤモンドって? 天然ダイヤとどう違うか聞かせてもらってもいい?

田上:天然ダイヤは、地底で炭素が数千年から数億年かけて結晶化したものですよね。一方ラボグロウンダイヤモンドは、地底で炭素が結晶化する環境をラボ内に作って育てた合成ダイヤモンドです。欧米では3〜4年前から急速に市場を拡大しています。

合成とはいえ、いわゆる模造石・類似石とはまったく異なります。ダイヤを育てていくので、ふたつとして同じものはできません。アメリカでは、連邦取引委員会によって「ダイヤモンドである」と認められています。

また、天然資源を枯渇させるものではないので、サステナブルな石として海外のセレブリティの間で注目を集めています。ダイヤモンドの採掘現場では、様々な課題も残っていると言われています。ですので、私も「サステナブルな石」というところにとても共感しました。

シトウ:お値段的にも違うの?

田上:全然違います。天然ダイヤの半分ぐらいの価格で買える点も魅力ですね。

合成ダイヤのネガティブイメージを変える


シトウ:ENEYは2021年8月にスタートして、日本でも少しずつラボグロウンダイヤモンドが浸透してきました。まさにゲームチェンジャーじゃないかなと。

「松屋」さんという銀座の老舗百貨店が立ち上げたブランドだという安心感があるからこそ、合成ダイヤにつきまとう"偽物?"というネガティブイメージを払拭できたのかなって。なぜ百貨店でやろうと思ったのですか。

田上:島田さん補足お願いしてもいいですか?
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聞き手=シトウレイ 構成=久野照美、田中友梨 撮影=杉能信介

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