パジトノフは「ペントミノ」という古典的なパズルゲームから着想を得て、まずテトリスの前身である、枠のなかにピッタリブロックをあてはめていく「遺伝子工学(Genetic Engineering)」というコンピュータパズルゲームを作り出しました。
しかし、このままでは繰り返しプレイしたくなる「中毒性」が足りないと考えたパジトノフは、上からブロックが落ちてくる仕掛けを考え、さらに、横一列にブロックがそろったらその列は消えるという画期的なシステムも追加。これにより、パズルを解く面白さに加えて「狙った通りにパズルが消えたときの快感や達成感」が何度も繰り返し起こります。この2つのアイデアが、テトリスを中毒性の高いゲームへと押し上げました。
テトリスは開発者自身がプレイを止められなくなるほど中毒性の高いゲームで、ゲームをしていなくてもブロックが見える「テトリス・エフェクト」という言葉も生まれました。2000年にハーバード大学の医学校がテトリス・エフェクトに関する研究レポートを発表。それによれば、テトリスを3日にわけて計7時間プレイした被験者の63%が、プレイ後もしばらくの間は実生活や夢の中でテトリスの映像やイメージが見えたそうです。
その一方で、高い中毒性で人々を熱中させるテトリスは、アルコールなどの依存症患者の欲求軽減やPTSDの予防効果が期待できるという報告もあり、何年にもわたって研究が続けられています。
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