アダム・スミスが生きたのは、イギリスが産業革命を突き進んでいた時代。スミスは、それまで国王から特権を受けた大商人たちだけが市場を牛耳っていた状態を批判。市場における自由な競争が行われてこそ、労働の生産性は高まり、富は増大すると主張しました。さらに、それぞれが利益を求めて利己心で動いても神の「見えざる手」によって経済はうまくいくとして、市場における自由競争、自由放任主義を主張したのです。
一方、スミスが亡くなってから約80年後に生まれたのがケインズでした。1929年のウォール街大暴落を機に世界経済に大打撃を与えた世界恐慌が起き、失業者があふれるなか、ケインズは「自由放任主義を貫いていれば、市場は自然とうまくいくようになる」という見えざる手の考え方に異議を唱え、需要をつくり出したり不均衡を是正するために、政府の経済介入を強めるべきだと主張します。これは「ケインズ革命」と呼ばれるほどの多大な影響を経済界に与えました。
後の時代に多大な影響を与えた偉大な経済学者の2人が、同じ誕生日というのはなんとも不思議です。
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