「ラーメン特集」が多いのと同じ
テレビが大吉商店を取り上げたくなる理由は、それだけではない。大吉商店の商品ラインナップのなかには、高価な希少部位だけではなく、プレミアムでありながら手が届く価格の商品も含まれているからだ。
それが、コンビーフである。大吉商店のコンビーフは65gで1620円と、一般的なコンビーフの4倍近い値段だ。しかし、「1620円」という価格そのものは視聴者にとって、決して手の届かないものではない。
大吉商店のコンビーフ
つまり「テレビを見たあとに視聴者が購入できる身近な商品」として、番組制作者も紹介しやすいのだろう。これは「ラーメン特集」や「コンビニスイーツ企画」が、テレビでやたらと多い理由にも通じる。
一般的な中小・ベンチャー企業が、大吉商店のPRの成功から学べることは、「ある分野で圧倒的ナンバーワンとなり、かつ一般の人にとって身近な商品を打ち出せば、突飛なことをしなくても、メディアの取材は自ずと舞い込む」ということだろう。
今、永谷社長は次なる目標に向かって歩み始めている。「海外にも本物の和牛を広める」という夢だ。
「すでに和牛の輸出も行っていますが、まだ売上の1割程度に過ぎません。海外で流通している"WAGYU"のほとんどは、日本の和牛と現地の牛をかけ合わせたものです。純粋な和牛の味を世界中に広めたいですね」