304psを叩き出す1.6リッターの3気筒ターボエンジンと、クロスレシオの6速MTの組み合わせをもつ「モリゾウエディション」。もちろん、ベースグレードのRZも304psを発生しているけど、「モリゾウ エディション」は豊田章男社長の強い思いが入っているモデルなので、一番魅力的だ。この仕様だと、トルクがベースグレードより太いし、しかも、“ 後部席が外されて ” いて、かなり軽量化が図られている。いうまでもなく、GRカローラが搭載するエンジンは、GRヤリスのエンジンと同様のものだけど、パワーアップされている。
モリゾウエディションは後部座席が外されている。
15年ほど前に設立されたGAZOO RACINGは、トヨタのクルマ作りをトレンディかつ格好よくしようとしてきた。その主役は間違いなく、モリゾウこと豊田章男社長だ。同氏はGRができた頃から伝説のニュルブルグリンク24時間レースに参戦しているし、ラリーにも挑戦し、トヨタ内では「マスター ドライバー」という資格も持っている。同氏は今回のGRカローラの試作段階から携わって、最初から開発に口を出しているそうだ。一番最初の試作車を試乗してピットに戻ってまず開発群に放ったのは、「野性味が足りない!」との辛口な一言。それを聞いた開発者はビビって、すぐにパワーアップを計り、ハンドリングも多少いじったという。そうしたら、再び乗ったモリゾウがやっと納得したそうだ。
会場にはモリゾウの試作車も展示されていた。
また、Raiti’s Rides がほめるのは、349箇所の溶接とリアのブレースのおかげで、ボディ剛性がかなり良くなっていること。東京の発表会場で見た内装は、かなり格好いいと思った。新型8インチのタッチスクリーン付きのインパネはシックだし、アルミ製ペダルと、シートとダッシュボードの黒いレザー&アルカンターラ、そして赤いステッチは乗り手をその気にさせてくれる。また、軽量化をさらに図るために、後部席を外し、前席の調整は手動。しかもルーフはカーボンファイバーだ。
正直なところ、ステアリングホイールを見るだけで、クルマ好きはヨダレが出るはず。というのは、歴代カローラとは違うデザインになっているから。アルカンターラで巻かれたハンドルに赤いステッチが入っているし、GRバッジも付いているし、しかも真上に「デッドセンター」の赤いマークが入っている。これには走り屋は興奮する! そのハンドルの奥には12インチのモニターがあって、その中の大きめのタコーメーターとGメーターが目を誘う。
僕は、GRヤリスに乗って素晴らしいと評価した。欧州、特に英国では何度も最優秀車賞を獲得し、非常に高く評判を受けている。トップギアのベストカー賞を受賞したそのGRヤリスの走りを超えるGRカローラとなれば、早く乗りたくてたまらない。
早速、Raiti’s Rides は誰よりも先にGRカローラの同乗走行に成功。ラッキーな男だ。その映像を見ると、GRヤリスよりさらに加速性も速く、コーナーを攻められるし、4WDのグリップはどのライバルに負けないという。また、トヨタのどのハッチバックに比べてもブレーキ性能は今までにないほどの制動力で、圧倒されると叫んでいる。
展示車にはモリゾウのサインが。
モリゾウがこれだけのこだわりを持って作り込んだ野性味たっぷりの味付けは、GRカローラのみならず、他のスポーツモデルにも応用してほしい。とにかくこの1台でトヨタを見直す人は多いと思う。