探知犬で新型コロナを検出、感度は抗原検査以上 仏研究結果

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探知犬によって人の汗から新型コロナウイルスの感染の有無を確認する方法は、鼻咽頭ぬぐい液を使った方法より有効なものになるかもしれない。パリ公立病院連合(APHP)に所属する研究者らのチームは、探知犬は非侵襲的かつ迅速な検査方法として、PCR検査に代わるものになり得るとの見方を示している。

科学誌プロスワンに掲載された論文によると、研究チームは昨年、パリに設置された検査センター2カ所で検査を受けた335人から、鼻咽頭ぬぐい液と唾液、汗のサンプルを採取。最も精度が高いとされているPCR検査のほか、抗原検査の結果と、探知犬による実験の結果を比較した。

その結果、探知犬による検出の精度は非常に高く、PCR検査の結果と比較した場合、感度(陽性を正しく判断する割合、真陽性率)は97%だった。さらに、無症状の感染者に限定した場合の比較では、100%だった。一方、特異度(陰性を正しく判定する割合、真陰性率)はわずかに低い91%で、無症状の感染者については94%だった。

探知犬による検査は、特異度が低くなる傾向があるとみられる。抗原検査の結果と比較した場合でも、抗原検査が97%であるのに対し、90%となっていた(感度は抗原検査が84%、探知犬が97%だった)。

入院患者の汗のサンプルを用いて行われた研究は過去にも行われており、犬が新型コロナウイルスを検出することは可能との結果はすでに示されていた。だが、抗原検査の結果と比較し、有効性を調べた研究は、これが最初の研究の一つとされている。

研究チームによれば、探知犬としての訓練を受けている犬であれば、新型コロナウイルスを検出できるようになるまでにかかる期間は、およそ3週間だという。訓練を受けていない犬の場合は、合図(マーキング)の仕方を学ぶ必要があることから、5~6週間が必要になる。

ヒトの嗅覚受容体がおよそ600万個とされるのに対し、犬の鼻にあるその数は、およそ3億個とされる。過去のその他の研究により、犬が乳がんや卵巣がん、糖尿病など、さまざまな病気を発見できる可能性があることが示唆されている。

研究者らは、空港や駅などの混雑した場所で多数の人を対象に検査を行うことができるようにするため、今後は犬が直接、人の匂いを嗅ぐことによって、感染者を特定する方法についての研究が必要だとしている。だが、そうした方法には、探知犬が感染リスクにさらされる、犬を怖がる人もいる、といった問題があると指摘されている。

編集=木内涼子

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