彫刻のような美しいルックスとパフォーマンスが同居。
クルマの面白さは、数値だけではない。それを端的に教えてくれるのが、英国のアストンマーティンだ。
戦前からスポーツカーづくりで名声を得てきたメーカーであり、いまもルマン24時間レースをはじめ、世界耐久レースなどで好成績をおさめている。おそらく、自動車好きの読者のかたなら、先刻ご承知ではないだろうか。
アストンマーティンの手がけるプロダクトのよさは、広範囲にわたる。さきに触れたように戦前からの活躍ぶりというヘリテイジ、美しいスタイリング、ほかに類のな い内装の仕上げ、そしてもちろん、スポーツカーとしてのパフォーマンス性。
DB11は、いまのアストンマーティンのスポーツモデルを代表する一台だ。アストンマーティンのファンにはおなじみの横バーで構成された「ベーングリル」をはじめ、低く、流麗なシルエットと、力強く張り出した前後フェンダーが特徴的。
フロントエンジンで後輪駆動の伝統的なスポーツカーはかくあるべし、というスタイルを、DB11というクルマは完璧に近いかたちで表現していると思う。
最新のDB11V12は、470kW(630bhp)の最高出力と、700Nmの最大トルクをもつ5.2リッターV型12気筒ツインターボチャージドエンジンを載せている。ひとことで言って、素晴らしく、しなやかで、なめらかなクルマだ。シュンシュンと回るスムーズなエンジンと、意外なほど快適な足まわり。スポーツモードではキャラクターが豹変するものの、東京から京都まで楽チンな気分で走っていくこともできる。というか、一度乗ると、たいへん気持ちいいので、降りたくなくなる。
いつまで12気筒をつくり続けるのか。アストンマーティンは明言していない。あまり時間は残っていないかもしれない。まさに旬の魅力に満ちたモデルだ。
ASTON MARTIN DB11 V12 Coupe
ボディ外寸:全長×全幅×全高=4750×1950×1250mm
車両重量:1870kg
駆動形式:FR
最高出力:639ps(447kW)/700Nm
価格:2784万円
問い合わせ:https://www.astonmartin.com/
COLUMN アストンマーティンDBXが進化高性能モデル「DBX707」に注目
アストンマーティンはスポーツカーで名声を築いてきた。2020年代は、SUVがさらなる名声に寄与しそうだ。アストンマーティンDBXは、たいへんよくできたSUVで、サーキットから雪山まで、道を選ばず楽しませてくれる。
2020年8月にアストンマーティン・ラゴンダ社のCEOに就任した、元メルセデスAMGのトビアス・ムアーズが「DBXのポテンシャルはとても高い」とした”分析”を裏付けるように、2022年2月に、さらなる高性能の「DBX707」が発表された。
4リッターV8ツインターボエンジンのパワーを引き上げ、車名の通り707ps(520kW)の最高出力と、900Nmの最大トルクを実現。メルセデス・ベンツ製の9段ツインクラッチ式オートマチック変速機を組み合わせ、静止から時速100kmまでの加速は、驚きの3.3秒だ。
価格は3119万円。日本への導入は22年夏が予定されている。