経済・社会

2022.06.02 16:30

ドイツでも物価高騰に拍車、高まるECBの大幅利上げ観測

Photo by Ralph Orlowski/Getty Images

欧州経済の中心であるドイツの5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比7.9%上昇し、英国でエリザベス女王が即位した1952年以降で最高を記録した。ユーロ圏のこうした物価高騰はユーロの調達コストの大幅な上昇を招きそうな情勢だ。
 
ドイツの5月のCPIは前月の7.4%上昇から伸びが加速した。キャピタル・エコノミストのリポートによると、エネルギー価格と食品価格が急騰したことが主な原因だ。
 
このニュースでとくに懸念されるのは、ドイツのインフレが短期間では収まりそうにないという点だ。キャピタル・エコノミストはリポートにこう記している。
 
・コアインフレ率が近いうちに大幅に下がると考えられる理由は見当たらない。ドイツでは5月の購買担当者景気指数(PMI)は(製造業とサービスの)どちらもかなり高い水準だった。(中略)コアインフレ率は今年から来年にかけて引き続き2%超で推移すると予想している。
 
ドイツは100年前にハイパーインフレに見舞われた経験もあるだけに、欧州中央銀行(ECB)はインフレを鎮圧して年率2%という目標値まで押し下げるために、断固たる行動をとろうとするだろう。
 
欧州の主要経済国で物価が急騰しているのはドイツだけではない。スペインの5月のCPIはドイツよりさらに高い前年同月比8.5%の上昇となった。
 
これらのデータは、ECBはインフレ対策に注力する必要があるという主張の根拠になるものだ。キャピタル・エコノミクスは次のように言及している。
 
・ECBのチーフエコノミスト、フィリップ・レーンは金融政策の引き締めでは0.25ポイントの利上げが「基準ペース」だと強調し、タカ派がより急ピッチの正常化を正当化するには相応の強い根拠を示す必要があるとの考えをにじませた。ドイツとスペインの統計はまさにそうした根拠になる。7月の0.5ポイントの利上げは正当化されるし、実際そうなる可能性が高いとみている。
 
言い方を変えると、ユーロの借り入れコストは以前の予想の倍に上がる公算が大きいということだ。

編集=江戸伸禎

ForbesBrandVoice

人気記事