ビジネス

2022.06.02 18:00

トップクラスの人たちにワークライフバランスはあるか?

先週、「トップクラスを目指す人であれば、ワークライフバランスではなくワークライフブレンドを考えると良いかもしれない」というような内容をツイートしたところ、ゴールデンウィーク明けということもあって多くの反応があり、活発な議論にまで発展しました。共感する声が大多数だった一方で、きわめてネガティブに反発をする人たちもいました。「ワークライフブレンド」を「休みなく働き、仕事以外の生活が一切なくなること」と解釈されてしまったことによるすれ違いが主な原因ですが、もちろんそんなライフスタイルを勧めたかったわけではありません。しかし簡単に説明できる内容ではないのは確かで、頑張りすぎの「オーバーアチーバー」が多いこの業界としてもしっかり取り上げるべきテーマです。ですので、今回はこのブログの場で改めて詳しく説明したいと思います。

まず、そもそも「ワークライフブレンド」という概念があまり周知されていないことに気づきましたので、説明したいと思います。

「ワークライフブレンド」とは


日本政府は「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)を以下のように定義しています。

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」(内閣府公式サイトより引用

この定義では、議論の対象は「社会」です。日本社会全体で見れば、望まぬ過重労働や男女の社会参画の一層の平等化、子育て負担の均等化による少子化傾向の歯止めなど、多くの社会課題と紐づく大切な議論であることは間違いありません。しかし、だからといってトップ・オブ・トップを目指す個人が、「ワークライフバランス」という言葉から連想される「仕事と生活に同じくらい時間を割く」という状態が目指すべき姿だとは思えません。むしろ、自分で仕事の時間や内容を決める裁量の大きい起業家や投資家であれば、「ワークライフブレンド」のほうがより良い方法ではないかと思います。

「ワークライフブレンド」では仕事と生活が交差した状態を受け入れ、どちらかだけにあえて特定の時間やエネルギー、関心を割くことはありません。2つの世界が「ブレンド」されているのです。例えば、子どもの宿題を見るために早退しても、常にSlackなどで緊急の対応ができる状態にしておく。または、午前中はZoomミーティングの連続で忙しくても、ランチは大切な人と楽しみ、その後また会社に戻る。もしくは、仕事で知り合った人とゴルフなどの共通の趣味(私の場合はスキューバダイビング!)を楽しみつつ、仕事の話もする、などです。仕事と生活が、特に明確な境界線なくブレンドされたライフスタイルなのです。
次ページ > ジェフ・ベゾスの「ワークライフハーモニー」

文=James Riney

ForbesBrandVoice

人気記事