LGBTを象徴するレインボーフラッグは誰がつくったのか? ギルバート・ベイカーの誕生日 | 6月2日

Spencer Platt / Getty Images

6月2日は、アメリカの美術家 ギルバート・ベイカーの誕生日です。ベイカーはLGBT(性的マイノリティ)の尊厳と社会運動を象徴する、あの「レインボーフラッグ」をデザインした人物。ドラアグクイーンでもあり、ゲイリベレーション(解放運動)の担い手として活動しました。

1951年アメリカのカンザスで生まれ育ったベイカーは、保守的な土地でゲイであることを家族や周囲に理解してもらえない子ども時代を過ごし、成人するとベトナム戦争の兵役でサンフランシスコの部隊に配属されました。

ゲイの人権運動が盛んであった1970年代のサンフランシスコに2年間駐留したベイカーは、この頃からLGBTの権利向上運動に関心を持ち始めます。

ベイカーは除籍後もそのままサンフランシスコに残り、裁縫を学んでアーティストとしての活動を開始。そんな折に出会ったのが、アメリカで初めてゲイであることを公言し、サンフランシスコ市政委員に当選したハーベイ・ミルクでした。

ミルクが当選した1977年、ベイカーは彼から「LGBTのシンボルをつくりたい」と依頼を受けます。そこで彼が制作したのが、8色のオリジナルレインボーフラッグ。サンフランシスコのゲイコミュニティセンターで30人ほどのボランティアと一緒にオーガニックの染料を使い、手染めで制作。完成した旗は、1987年のサンフランシスコ ゲイ・フリーダム・パレードで初めて掲げられ、その後世界中に広まりました。

ベイカーが8色それぞれのカラーに込めた意味は、ピンク:sexuality (セクシャリティ)、赤:life (生命)、オレンジ:healing (癒し)、黄:sunlight (太陽)、緑:nature (自然)、ターコイズ:magic/art (魔術 / 芸術)、藍:serenity/harmony (平穏 / 調和)、紫:spirit (精神)。ところが、当時ピンクの染料や生地を調達するのが難しかったことなどから、7色や6色のレインボーフラッグがつくられるようになり、いまでは6色のレインボーフラッグが象徴として広く定着しています。

ベイカーにレインボーフラッグ制作のきっかけをつくったミルクは、議員就任から1年も経たないうちに同僚議員によって暗殺されてしまいましたが、2015年にはアメリカではどの州でも同性婚が認められるようになりました。この時ベイカーがつくったオリジナルのレインボーフラッグも、2015年からMoMAのデザインコレクションに加えられています。

*6月はプライドマンス(Pride Month)。世界各国でLGBTQ+の権利についてのさまざまな活動やイベントなどが行われます。

連載:今日は何の日?

Forbes JAPAN 編集部

タグ:

連載

今日は何の日?

ForbesBrandVoice

人気記事