2006年にゲイツが設立したテラパワーは、従来の原子炉に比べて建設コストが低いSMRと呼ばれる小規模モジュール式原子炉を開発している。
ミシガン大学原子力工学・放射線科学科のトッド・アレン教授は、「テラパワーのエネルギーシステムは、太陽光や風力などのクリーンエネルギーと相乗的に機能するように設計されている」と述べている。
アライドマーケットリサーチの2月のレポートによると、2020年に410億ドルだった世界の原子力発電所・設備産業は、クリーンエネルギーの需要の高まりを受けて、2030年には580億ドル(約7.6兆円)に達する見通しという。
SKグループの崔泰源(チェ·テウォン)会長は昨年、2030年までにグループの炭素排出量を2億トン削減する方針を打ち出しており、通信事業と半導体事業で知られる同グループは、低炭素テクノロジーへの投資を活発化させている。
5月10日に韓国の新大統領に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)は、脱炭素を進めるために原子力を推進することを公約に掲げている。SKとテラパワーとの提携に先立ち、サムスンも米国の新興SMRメーカーのニュースケール・パワーに7000万ドルを出資すると発表していた。
ワイオミング大学で石油・天然ガス政策を研究するチャールズ・メイソン教授によると、韓国を含むほとんどのアジア諸国はエネルギーの大半を輸入に頼っており、ロシアとウクライナの戦争で、大きな打撃を受けているという。
「世界のエネルギー秩序の変化が差し迫る中で、選択肢は限られている。天然ガスの高騰をヘッジする一つの方法は、原子力発電の能力を高めることだ」とメイソン教授は語った。