「株式は投資家をインフレから守ってくれるというのは、長期的にみても神話にすぎない」。調査会社HCWEアンド・カンパニーは最近のリポートでそう警告する。
HCWEが1957年以降の米生産者物価と、大型株で構成するS&P500種株価指数のリターンの関係を分析したところ、物価上昇率が1ポイント上がるとS&P500は3年後に2.1%下がっていたという。
消費者物価指数の上昇率が最近のように8%に達した場合、世界最大の上場投資信託(ETF)である「SPDR(スパイダー)S&P500」は16%下がることが見込まれる。
ハイテク株だけに投資すれば痛手はさらに大きくなる。HCWEによれば、物価が1ポイント上昇すればハイテク銘柄は3年後に4.3%も下落していたという。
では、物価が高騰している時期には株式投資をいっさい手控えるべきなのか?
HCWEの分析によれば、S&P500ではインフレがプラスにはたらく傾向にあるセクターがひとつだけある。エネルギーだ。物価上昇率が1ポイント上がるとエネルギー銘柄は3年後に0.5%上がっていたという。
現在の物価高騰がしばらく続くとみている投資家は、石油関連株などで構成する「iシェアーズ・グローバル・エネルギーETF」などへの投資を検討してみるのもよいかもしれない。
HCWEは「(インフレの)ヘッジになる業種はひとつしかなく、ほとんどはその逆だ」と指摘している。