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2022.06.06 08:30

カネ、人手より経営者に必要なものとは

スモール・ジャイアンツアワードの審査員長を務める内田研一は、約1500件の事業支援をしてきた。その経験から見えてきた、地域企業に必要なものとは。
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地域の中小企業に最も必要なのはカネ? 人? 確かにそれも大事だが、評価能力がある人の存在が重要ではないだろうか。いわゆる目利きのことだが、これは2パターンあると考えている。1 ローカル(L)型、2 グローバル(G)型だ。

これまで、本誌スモール・ジャイアンツではユニークな企業が生まれた「地域」に着目してきた。大阪府八尾市や福岡県など、そこには裏方として経営者と伴走する行政マンがいた。これがL型だ。

L型については、私がかかわっている公益財団法人やまなし産業支援機構の例を紹介しよう。意外に知られていないが、下の図のように山梨県は半導体関連企業が一大産業地帯を築いていて、製造業が活動しやすいネットワークがある。市場シェアが国内トップで世界3位の半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンが事業所を構えていることもあり、サプライヤーが集積している。東京エレクトロンの卓越性を支える企業群だ。
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このピラミッド状に広がるネットワークにとって必要な存在が、企業回りを長年行っているやまなし産業支援機構のベテラン職員である。職員は経営者に助言するだけでなく、金融機関との仲介や交渉、あるいは県の単独予算である低利融資や設備貸与を行う。その職員の動きがフィルタリングとなり、地域の金融機関も協調する。逆に、融資を断り、厳しい助言をすることもある。なぜ目利きになれたのかというと、若いころから企業回りをするなかで、経営者から叱られながら育てられたからだ。相互に磨き合う共生相互依存の生態系といえる。

L型は山梨県に限らない。販売先の紹介をはじめ、業界のキーパーソン、海外販路、研究機関、HP作成のデザイナーなど、その会社に「いま必要」な相手を探す。こうした評価能力をもつ存在の有無で、地域発展に大きな差がつく。

しかし、それだけで新しい価値を生み出し世界にインパクトを与える「新・中小企業」になれるわけではない。
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編集=フォーブスジャパン編集部

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