経済・社会

2022.06.01 16:30

米住宅価格、上昇に歯止めかからず ケース・シラー指数の伸び過去最高に

Photo by Joe Raedle / Getty Images

米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが5月31日に発表した3月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(全米ベース)は前年同月比20.6%上昇し、伸び率は2月の20%から加速して過去最高を更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げで住宅需要は抑制されつつあるものの、価格高騰に歯止めがかかる時期は見通しにくくなっている。

前月比では2.6%の上昇だった。ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコなど20の大都市圏を対象にした指数は前年同月比21.2%上昇とさらに高い伸び率となり、こちらも1987年の統計開始以降でもっとも高かった。前年同月比の上昇率はフロリダ州タンパが34.8%で全米最高だった。前月まで3年近くトップだったアリゾナ州フェニックス(32.4%)を上回った。

S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのマネジングディレクター、クレイグ・ラザラは「米住宅価格の減速を見込んでいた人は少なくともあと1カ月は待つ必要がある」とコメント。FRBが利上げを進めるなか、住宅ローン金利も上がり始めていることから「住宅価格の伸びが鈍ることは確実に見込めるものの、その時期を予測するのは難しい」とも述べている。

米国では新型コロナウイルス禍の間、歴史的に高い貯蓄率や政府の景気刺激策、低金利、住宅の供給量の少なさを背景に住宅購入熱に火が付いた。だが、FRBが過去20年でもっとも積極的な利上げサイクルを始めたことで、住宅市場にも減速の兆しがみられる。

全米不動産協会(NAR)が先週発表した4月の中古住宅販売仮契約指数は6カ月連続で前月比低下し、約10年ぶりの水準に落ち込んだ。4月の新築住宅販売数も前月から17%近く減少している。

コロナ禍の前は、米国の住宅価格の前年比上昇ペースは4%弱にとどまっていた。

編集=江戸伸禎

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