英国は6月2日からの4日間を連休とし、国を挙げての祝賀行事を行う。女王の公式誕生日を祝う恒例行事の「トゥルーピング・ザ・カラー」のほか、セントポール大聖堂での感謝の礼拝、バッキンガム宮殿でのコンサートなどが開かれる予定だ。
さらに、最終日の5日には、「ビッグ・ジュビリー・ランチ」と題し、各地で地元の人たちが集まり、屋外でランチを楽しむイベントが開かれる。このランチへの参加を申し込んだ人は、6万人を超えているという。
こうしたイベントの開催が意味するのは、飾りつけ用の連続旗やテーブルクロス、仮装のための衣装、食品など、さまざまな商品の需要が高まるということだ。国内の小売業者にとっては、絶好の商機となっている。
王室御用達の百貨店フォートナム・アンド・メイソンは、エリザベス女王の趣味や好みを反映したさまざまな記念の商品を発売。「プラチナ・ジュビリー・コレクション」と銘打ち、9.95ポンド(約1600円)から1995.00ポンドまで、幅広い価格帯の品々を提供している。
消費意欲の大幅な高まりを受け、一部の店舗では売り切れとなる商品も出ている。その一つが、スーパーマーケット・チェーンのアズダが展開する衣料品のプライベートブランド、「ジョージ」が発売したドレスだ。
「クイーンズ・プラチナ・ジュビリー マザー&ミー」として、親子お揃いで着られるドレスのシリーズを発売したところ、SNSを通じて注目が集まり、予想を上回る売れ行きとなった。需要を見誤ったアズダは、在庫切れの謝罪文を出すことになっている。
一方、1900年代初めからティータイム用の菓子類を提供してきたカートライト&バトラーは、プラチナ・ジュビリーを記念して発売した30ポンドのハンパー(ピクニック食器や食料品を詰めたセット)が人気を得ている。
エリザベス女王のお気に入りだというアールグレイのフレーバーの紅茶、「カフェ・ヨーク・ブレンド・コーヒー」とショートブレッドやビスケット、バターファッジなどを入れたセットは、入荷待ちとなっている。
同社の関係者は、消費者の関心は非常に高いとして、売り上げ増への期待感を示すとともに、「極めて重要な機会です。企業としてこのお祝いに関わることができるのは、素晴らしいことです」と語っている。
英国のブランドは女王のプラチナ・ジュビリーをきっかけに、自国以外の市場における認知度や影響力も高めることもできるかもしれない。英国の広告代理店、ティッシュタッシュ・コミュニケーションズのCEOは、女王にとっての記念の年を祝い、それを世界に向けて発信することは、英国のブランドがその名を広め、新たな顧客を獲得するための強力な方法になると指摘している。