米国民の半数、中絶の権利撤回なら「投票に行く可能性高まる」

2019年5月21日、ワシントンDCの最高裁前で、各州の中絶禁止を阻止するための抗議活動が行われた(Rena Schild / Shutterstock.com)

米公共ラジオ(NPR)などの合同世論調査によると、米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆した場合、11月の中間選挙で投票に行く可能性が高くなると答えた人は全体の49%にのぼった。ただ、その影響で投票率が上がったとしても、女性の中絶の権利を擁護する与党・民主党の勝利につながるかどうかはなお不透明だ。

調査はNPRと公共テレビ(PBS)、マリスト大学が成人1304人を対象に今月5〜13日に実施した。多数派判事の意見書の草稿どおり最高裁がロー対ウェイド判決を覆した場合、どのような投票行動をとるかを尋ねた。草稿は今月、政治専門サイトのポリティコが入手して公開していた。

調査結果からは、この問題はとくに判決破棄に反対する人の間で投票への熱気を高めていることがうかがえる。民主党支持者では66%、中絶の権利を支持する人では60%が、投票に行く可能性が高くなると回答した。一方、共和党支持者でそう答えた人は40%、中絶の権利に反対する人では36%にとどまっている。

回答者の大半(61%)が中絶の権利を支持しており、64%はロー対ウェイド判決は覆されるべきではないと考えている。中絶手術の実施を犯罪化することには75%が反対している。

とはいえ、6月にも下されるとみられる最高裁の判断が中間選挙の結果にどう影響するかは見通せない。今回の調査では47%が中間選挙で民主党の候補を支持するつもりだと答え、共和党の候補を支持するつもりだと答えた人の割合(42%)を上回った。ほかの世論調査でも、中絶に反対の候補者よりも賛成の候補者を支持する人が多い傾向にある。

その一方で、中間選挙に向けた有権者の熱意に関しては、ほかの調査では共和党支持者のほうがやや強いという結果になっている。そのため、民主党支持者による中絶の権利への支持が選挙での勝利につながるかは現時点では判断しがたい。

意見書の草稿は、妊娠15週以降の中絶を禁じたミシシッピ州の法律の合憲性について争われている訴訟に関するもの。最高裁がロー対ウェイド判決を覆した場合、26州が中絶を禁止する公算が大きく、その多くは最高裁判決と連動する「トリガー法」を通じてほぼ即時に実施するとみられる。少なくとも12州では、中絶手術を行った場合、重罪に問われることになる。

編集=江戸伸禎

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